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ついたあだ名は「Mr.信頼」。
遠藤航の評価がドイツで爆上げ中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2020/08/01 11:40
「復活≒1部返り咲き」という記念Tシャツを手にする遠藤航。27歳、大きな波が彼に向かってきている。
「どれだけ上に行けるのかが大事」
思い出されるのはおよそ2年前、2018年7月25日の成田空港でのこと。かけつけたサポーターとメディアに囲まれながら、遠藤はこう宣言した。
「大事なのは、今回のロシアW杯での悔しさを忘れずに、しっかり4年間過ごすこと。その一歩として、海外移籍が自分のなかにある。これからは、ヨーロッパでどれだけ『上に行ける』のかが大事になって来ると思いますし、その結果が4年後につながれば良いなと。目の前のできることをしっかりやって、最終的に4年後にW杯という舞台に立てるように頑張っていきたいです」
その言葉通り、あのときからすでに2つの階段を上がった。1つ目はベルギーからドイツへの移籍で、2つ目は自ら勝ち取ったリーグの昇格という形で。
「遠藤はチームで最も大切な選手だ」
カテゴリーを駆け上がったきたからこそ、これから求められるのはプレーヤーとしてのレベルを誰の目にもわかるくらいに上げることだ。
シュツットガルトは2部では圧倒的にボールを保持しており、支配率は63.8%でダントツのトップだった。でも、1部で同じような戦いを望むのは現実的ではない。今季のブンデスリーガ1部では、支配率が2番目に高かったレバークーゼンでさえ62.4%だ。
明らかな格上チームもいる1部では、攻撃的な守備を見せるだけではなく相手の攻撃を耐える局面も出てくるだろう。そこで、どれだけのパフォーマンスを見せられるのか。
簡単ではないが、期待感はある。
最後に、現在のマタラッツォ監督の言葉を紹介する。チームを1部昇格に導いた、名門コロンビア大学の出身の指揮官はこう話している。
「遠藤は現在、我々のチームで最も大切な選手だ。スペースを埋めて、ボールを失わず、まるで『銀行』みたいに頼りになる存在だ。常にボールを受けられるように顔を出してくれるし、重要なデュエルでも勝ってくれる」
思えば、シャルケ時代のイバン・ラキティッチも、ラウール・ゴンサレスのことを『スイス銀行』と評していた。銀行に例えるというのは、それくらいの信頼を意味する。
果たして、信頼という名の貯金を増やせる選手になれるかどうか。全てはドイツ最高峰の舞台で明らかになる。