フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ブンデス再開をドイツ代表GKが語る。
「世界の模範例になることを願う」
text by
オリビエ・ボサールOlivier Bossard
photograph byPierre Lahalle/L'Equipe
posted2020/07/27 12:00
ドイツ代表GKのケビン・トラップ。PSGでの活躍を、フランクフルトでも再び披露できるか。
ピアノ、外国語、料理に挑戦した!
――他には何がありますか?
「最大のチャレンジはピアノだった。音楽の才能はまったくないけど、ピアノを弾けるようになりたいとずっと思っていた。外国語ももうひとつ覚えたくて、イタリア語の勉強を始めたよ。習得すれば、6カ国語(ドイツ語とフランス語、ポルトガル語、スペイン語、英語、イタリア語)を話せることになるからね。あとは料理にもチャレンジしたけど全然駄目だった(笑)」
――フランスもドイツのように再開が可能だったと思いますか?
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「5大リーグのなかで、フランスがあっという間に打ち切りを決めたのは本当に驚いた。コロナの影響がどうなるかまだわからないときに、打ち切ってしまったのはちょっと疑問だ。微妙な決断で、誰もが納得できるものではなかった。だからこそドイツは模範になって欲しいし、他の国々が問題なく続いて欲しい。
たしかにサッカーは人生の最大の関心事ではない。だが、それでも人々はサッカーに大きな関心を抱いている。そんな人々に、この時期に何かを与えられるのは素晴らしいと思う」
「バルセロナ 6-1 PSG」の思い出。
――フランスへの思いはありますか?
「僕はパリで素晴らしい3年間を過ごした。忘れられない試合がひとつある(2017年3月8日、CLラウンド16・第2戦、バルセロナ6対1パリ・サンジェルマン)。それ以外は、パリにはいい思い出しかない」
――この試合のことは忘れようとしていますが、今でも心に甦りますか?
「問題は誰もが僕にこの話題を振ることだ(微笑)。数日前にチームメイトのフィリップ・コスティッチ(セルビア代表)が訪ねてきてこう言った。『バルセロナ戦を見たよ』と。『どのバルセロナ戦?』と尋ねたら『6対1だ』と彼は答えた。その話はもうよしてくれと彼には言った。忘れてしまいたい悪夢だけど、あの試合から多くを学んだのもまた事実だ」
――PSGの選手たちとは今でもやりとりがありますか?
「ずっと続いている。今もPSGのサポーターだし、見れる試合はすべて見ている」
――ではCLラウンド16ではどちらを応援しましたか。ドイツ人としてドルトムントを支持したのか、あるいは元選手としてPSGをサポートしたのか……。
「パリを応援した。ドルトムントにも友人はいるけど、パリの選手たちが目的を達成するためにどれだけハードに働いているか僕はよくわかっている。試合の前にチアゴ・シウバと(電話で)話した。勇気づけるためにPSGの練習着を着た写真を送った。彼らが準々決勝に進んだのは当然だった」
――PSGに関してはロッカールームでの様々な雑音を聞きます。実際にはどうだったのでしょうか?
「選手ひとりひとりに向けるべき質問だ。どうしてそんな間違った情報が出てくるのか本当に不思議だ。実際のロッカールームは最高で、選手はお互いをよく理解している。それが真実だ」
――ブラジル人のグループと仲が良かったのはどうしてですか?
「僕がここにやって来たとき、彼らが本当に親切にしてくれた。マクスウェルは……(微笑)、彼がどれほど親切か君らにはわからないだろう。本当に彼は良くしてくれた。それから妻と知り合って言葉も覚えた。だから彼らとの会話がより容易になった。僕はブラジル人のメンタリティーが大好きだ。常に満ち足りていて親切さを忘れない。それが本当に凄い。それから彼らは素晴らしい選手でもある」