リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
選手生命危機の大ケガを克服した、
カソルラとブルーノの移籍&引退。
posted2020/07/26 20:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
7月19日に行われた最終節エイバル戦を最後に、ビジャレアルの顔とも言える2人――サンティ・カソルラとブルーノ・ソリアーノが契約終了に伴いリーガを後にした。前者は移籍、後者は引退である。
ともに1984年生まれのカンテラ育ち。「彼がピッチにいたおかげで最後の夜がより特別なものになった」と言うカソルラにとってブルーノはまさに戦友であり、ブルーノにとってのカソルラは「一緒にプレーしてきたチームメイトの中で最高の選手」だった。
そんな2人には「現役続行不可能とも思われた怪我を強靭な意志で乗り越えた」という共通点もある。
右足切断危機まであったカソルラ。
カソルラは右足切断の危機さえあった。事の起こりは2013年9月に行われた親善試合、スペイン対チリで右足首を亀裂骨折したことだ。
復帰後も痛みは消えず、故障したところをかばいながら走るようになったため、2015年11月に負った左膝の外側靭帯損傷のリハビリ中、今度は右アキレス腱を痛めてしまった。
その後、試合に出られるようにはなったが、アキレス腱の痛みが限界に達し、16年12月に手術を受ける決断を下す。しかし、創傷がうまく塞がらず、細菌が侵入して化膿。次に皮膚を移植する手術を受けるも再び傷口が開いてしまう。
問題となっている細菌の特定さえできない医師からは「サッカーは諦めて、普通の生活を送れるようになることを目標に」と告げられた。
それならばとカソルラはスペイン北部のビトリアへ飛び、診察を受けた。
アキレス腱の状態を確認すべく医師が切開したところ、10cmほど「細菌に喰われていた」とカソルラは2018年のインタビューで語っている。
「それでも『幸運だ』と言われたよ。もっとやられていてもおかしくなかったらしい。骨がまたひどい状態だった。粘土のようになっていて、(ハムストリングを使いアキレス腱を再建する)手術を受けたときには、医師の指が埋まったらしい」