フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サッカー界で最強の影響力を持つ男!?
アル・ケライフィが語る石油王の思考法。
text by
パスカル・フェレPascal Ferre
photograph byFranck Seguin/L'Equipe
posted2020/07/26 08:00
リーグアンで絶対的な強さを誇るPSGのカリスマオーナー、アル・ケライフィ。石油王とひと言でくくれない大実業家である。
「まず名前を挙げたいのがファーガソンだ」
――サッカーの世界で、統括能力とアイディアを実現する能力では誰が突出していると思いますか?
「まず名前を挙げたいのがサー・アレックス・ファーガソンだ。
彼は世界最高のチームを作っただけでなく、カリスマ性を今日もまったく失っていない。今でも彼がスタジアムに現れるとスタンドに戦慄が走る。数年前に知り合えたのは僥倖だったと思っている。サッカーの認識と情熱は驚くばかりで、彼の言葉から本当に多くのことが学べる。
サッカー以外では、マイケル・ジョーダンもカリスマ性が尋常ではないうえに、引退して久しい今も多大な影響力を持っている。
彼は世界で最もポピュラーで象徴的なブランドを創設した。PSGが彼と協力して、世界市場に向けた新たなブランドを立ち上げられたのは本当に素晴らしかった。
もうひとり、私が多大な称賛と敬意を払っているのがIOCのトーマス・バッハ会長だ。
彼はオリンピック大会の変革に大きく寄与し、その近代化のプログラムは複雑な組織を統括していくうえでの貴重なレッスンになっている」
「では何が第一か? それはスポーツそのものだ」
――あなたにとっては最も影響が大きいのは何ですか。経済なのかスポーツなのか、それとも人気なのか?
「それはもちろんプレーだ。プレーこそが、すべてをひとつにしているのだから。すべての人々はプレーによって結びついている。
たしかにスポーツと経済の関係は緊密で、その結びつきはスポーツが政治と経済の両面で効果的に発展していくために不可欠だ。だが、人気も経済も、スポーツにとっては二次的なものだ。
では何が第一か?
それはスポーツそのものだ。
何故ならスポーツこそが情熱を喚起するからだ。
もちろん今日の危機的状況を鑑みると、サッカー経済は再考が迫られている。フランスでも世界でも、サッカーに従事する数千万人の人々の生活を養っている指導者たちの責任が問われている。私たちはその責任を決して軽んじてはいない。
今を生きる状況の中で、あらゆる地平の人々の心をひとつにし、感動を共有させることができるサッカーの力を保持していく。その最たる例がロシアワールドカップだった。世界中から集まったサポーターが、同じ情熱を分かち合いながら交流していた。その熱気と活気は、見ていて本当に素晴らしかった」