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岡崎慎司、欧州10年の実績は偉大だ。
レスターにリーガ昇格、ザックの勧め?
posted2020/07/25 11:50
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
CameraSport/AFLO
コロナウイルス禍でリーグ中止、3カ月間の中断期間があった欧州サッカーの2019-20シーズン。今季も各国で日本人選手が奮闘し、どうも気分が暗くなりがちな週明けのポジティブなニュースになった。
それぞれスペイン・イタリア1年目の久保建英(マジョルカ)と冨安健洋(ボローニャ)、ELで大活躍した鎌田大地や欧州13年目となったレジェンド長谷部誠(ともにフランクフルト)、リバプールにステップアップした南野拓実といった面々が話題の中心となった一方で、シーズン最終盤で“まくった”印象があるのは岡崎慎司(ウエスカ)だ。
レスターからスペインのラ・リーガ2部に活躍の場を求めた岡崎は昨夏、当初マラガに加入したもののクラブ側の不備でウエスカに“再移籍”する羽目になった。しかしこれが吉と出るのだから、フットボールは分からない。
「点で合わせる」お手本通りのゴール。
9月にウエスカの一員となった岡崎は28日のジローナ戦でスペイン初ゴール。その後は香川真司との直接対決となったサラゴサ戦でゴールを挙げるなど、前半戦で4得点をマークした。
2020年に入ってからはさらにゴールペースが上がり、特に輝いたのは昇格争い真っただ中のリーグ再開後だった。まずは第35節、当時首位のカディス相手に途中出場ながら勝ち点1をもぎ取るゴールを決めると、その後も3得点をマーク。第39節アルコルコン戦では、右サイドのクロスに対して、絶妙なオフザボールで相手DF2人の間に入り込んでダイビングヘッドを決めたゴールは、まさに「点で合わせる」という表現で教科書に載せておくべきレベルの一撃だった。
また第41節ヌマンシア戦ではグラウンダーのクロスに倒れ込みながらもバックヒールで合わせ、相手GKの虚をつくゴールを奪った。岡崎には“泥臭い”が代名詞のようについて回るが、こんな技巧的な一面もある。
岡崎の大活躍もあって、ウエスカは1年での1部復帰を自動昇格で決め、さらには2部優勝まで果たした。マラガにとっては自分たちのミスに頭を抱えたくもなるだろう。