“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
世界を、久保建英を追う新鋭の挑戦。
来年U-20W杯へ、キーマンは誰に?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/07/17 20:00
J1でゴールを決めた勢いそのまま、U-19日本代表候補合宿でも存在感を発揮したFW斉藤光毅(横浜FC)。
鳥栖コンビは短期決戦の武器に?
本田風智と松岡大起のサガン鳥栖コンビも、開幕から主軸としてプレーしている。ともに下部組織出身で、現在トップチームの指揮を執る恩師・金明輝監督のもと、着実に経験を積んでいる印象だ。
黙々とハードワークをこなし、アンカーやトップ下、サイドハーフと幅広いポジションをそつなくこなす松岡は、すでに昨季からJ1を経験済み。一方で本田は「注目度は僕より大起の方があるのが悔しかった」と、ライバルの姿に刺激をされる形で一気に頭角を現した。
2人に共通するのは戦術理解度の高さ。的確なポジショニングでボールを引き出して収め、ボールを繋いでいく。そこに松岡は察知力とカバーリング能力、本田はキープ力と展開力、さらにはフィニッシュまで持ち込む力と、それぞれ異なる強みをプラスしている。
「ずっと一緒にやってきて、お互いをよく知っている」と本田が語ったように、ユース時代から磨かれるコンビネーションは、準備期間が限られるU-19代表にとって大きな武器となるかもしれない。
代表復帰の小田裕太郎、最年少の中野伸哉。
その他J1のピッチを経験済みの選手は、MF荒木遼太郎(鹿島)、MF柴田壮介(湘南ベルマーレ)、MF田中聡(湘南ベルマーレU-18)、MF小田裕太郎(ヴィッセル神戸)の4人。
なかでも今回の合宿で躍動感あふれるプレーを見せてくれたのは、AFC U-19選手権予選でメンバー漏れを味わった小田だ。
「久しぶりの代表ですし、新しい選手も多い中で影山監督も『競争』というワードを出していたので、自分の良さをしっかりとアピールしていきたいと思います」
181cmの高さとスピードを併せ持ち、1人で状況を打開してシュートまで持ち込めるアタッカーで、Jリーグデビュー戦でも積極的な仕掛けが目立った。今回の紅白戦でも見せた負けん気の強さは、激戦区となる両サイドとFWの序列争いに新たな風を吹き込んでいる。
ここまでJリーグ経験組を中心に紹介してきたが、今回の合宿のトピックを挙げるとすれば、最年少選出となった左サイドバック中野伸哉(サガン鳥栖U-18)も推したい。
2003年8月17日生まれの高校2年生は、実績ある先輩たちとの紅白戦でも堂々たるプレーぶりを見せてくれた。昨年はU-17W杯にも飛び級で参戦し、左右両足から正確なボールを供給するなど、ビルドアップを活性化させた。カバーリングやボール奪取にも長け、さまざまな役割をこなせるハイスペックはU-19世代でもアジアを戦う上で重要な戦力になりそうだ。