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世界を、久保建英を追う新鋭の挑戦。
来年U-20W杯へ、キーマンは誰に?
posted2020/07/17 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
来年インドネシアで開催されるU-20W杯の出場権獲得を目指す、サッカーU-19日本代表の活動が再開した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、海外遠征がキャンセルになるなど、準備期間を満足に得られない状況が続いたが、7月11日から行われた5日間の合宿(JFA夢フィールド)でようやく今季初の“顔合わせ”となった。
本大会行きを懸けたアジア最終予選(AFC U-19選手権/10月14日~)では韓国、イラク、バーレーンという強豪国と同じグループB。上位2チームが決勝トーナメントに進出し、準決勝まで進むことができればU-20W杯への出場権が獲得できるが、準々決勝ではアジア屈指の攻撃力を誇るイランや開催国ウズベキスタンと対戦する可能性が高い。言わずもがな、厳しい戦いが予想されている。
世界への切符を懸けた戦いは幸先良い船出とはならなかったが、2大会連続でアンダー世代を託される影山雅永監督のもと、有望株が揃うチームとしてこれまで以上に大きな期待を背負っているのも確かだ。事実、再開したJリーグでは多くの選手たちがトップチームでプレーする時間を与えられている。J1・J2ともに降格なし、交代枠拡大、過密日程というイレギュラーなレギュレーションがあるとはいえ、それぞれが競争のなかでピッチに立つ権利を得ているのだ。
さらに同世代の筆頭格としてすでにA代表でプレーする久保建英という刺激的な存在がいる。互いを意識しながら切磋琢磨しているだけに、今後の成長にも大きな期待ができるだろう。
そこで今回は、合宿に参加した29名の候補選手から注目選手をピックアップした。
怪我から復帰したエース染野唯月。
Jリーグ再開以降、J1でスタメンとして出場したのは5人。
今季からザーゴ新監督を迎えた鹿島アントラーズで出番を得ているのは、この世代のエース格であるFW染野唯月だ。昨年11月のAFC U-19選手権予選(ベトナム)では腰椎分離症が悪化したことで思うような活躍ができず、その後の高校サッカー選手権も出場を回避。プロ生活は怪我で出遅れた形のスタートとなった。
しかし復帰以降、ゴール前での多彩なアプローチやボールを収める身のこなし、足元の技術を買われ、J1第3節から右サイドハーフとして出場している。
「怪我をしてから、自分の身体への意識はレベルアップしたと思います。離脱中は栄養面や休息の時間と、ピッチ外を含めて、プロでサッカーをしていく上で必要なことをいろんな人に聞いて学んだ。そのおかげで復帰後にいいスタートを切れたと思います」
鹿島では得意とする最前線のポジションとは異なり、少し苦戦する姿も見受けられるが、FWとして出場した合宿最終日の紅白戦を見る限り、オフ・ザ・ボールの動きに磨きがかかったように映った。この試合では豪快なゴールを決め、多彩なゴールバリエーションがこの世代で群を抜いていることを改めて証明した。