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F1開幕戦、メルセデスの怪しい優勝。
納得いかないレッドブル・ホンダ。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byMark Thompson/Getty Images

posted2020/07/06 11:50

F1開幕戦、メルセデスの怪しい優勝。納得いかないレッドブル・ホンダ。<Number Web> photograph by Mark Thompson/Getty Images

無観客で開催された2020年シーズンのF1グランプリ開幕戦。スタート直後のレッドブル・リンクの風景。

絶好調フェルスタッペンが電気系トラブルに。

 メルセデスが今年から搭載している「DAS(二重軸ステアリング)システム」に対して、金曜日にも抗議を出していた。それは却下されたものの、日曜日の抗議ではハミルトンを2番手から引きずり下ろし、予選3位だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がフロントロウからスタートする権利を得たわけだ。

 両者の戦いは、スタート後も続いた。

 メルセデスのボッタスをトップに決勝レースが始まる。スタートを無難に決めたフェルスタッペンは、ポールポジションからスタートしてトップを走行するボッタスが最も柔らかいソフトタイヤを装着しているのに対して、1ランク硬いミディアムタイヤで追い、ロングランに適したタイヤのアドバンテージを生かした作戦を敷いていた。しかし、そのアドバンテージを生かす前の11周目に突然スローダウン。電気系とみられるトラブルに見舞われたフェルスタッペンはゆっくりとピットインし、マシンを降りた。

 昨年のオーストリアGP勝者で、今年はそのオーストリアGPが開幕戦となり、開幕ダッシュを目論んでいたレッドブル・ホンダにとって、'20年リタイア第1号がまさか自分たちになるとは想像もしていなかっただろう。

盤石の1-2フィニッシュのはずが……。

 フェルスタッペンの離脱で、ボッタスとハミルトンによる1-2体制を築いたメルセデスは3番手を走る、もう1台のレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンとの差を徐々に広げ、盤石の体制を整えていく。

 レース中盤にセーフティーカーが導入されると、上位陣が一斉にピットイン。アルボンと同じハードタイヤを選択してチェッカーフラッグまで走り切る作戦を採ったメルセデス勢のペースはレース再開後も変わらず、勝敗は決したかのように見えた。

 しかし、両者の戦いは、ここからさらにヒートアップする。

 レースが終盤に差し掛かった51周目にセーフティカーが出動すると、メルセデスはポジションを維持するため、両ドライバーともコースにとどまらせたのに対して、レッドブル・ホンダはアルボンをピットさせ、最も軟らかいソフトタイヤに交換する。

 レッドブル・ホンダは、レース再開後にアルボンがタイヤのアドバンテージを生かして、一気に猛追、逆転する作戦に出たのだ。

【次ページ】 レッドブルの野望を弾き飛ばしたハミルトン。

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