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ザーゴ監督が刻んだ日本語タトゥー。
「父」への思いと鹿島変革への誓い。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/02 11:30

ザーゴ監督が刻んだ日本語タトゥー。「父」への思いと鹿島変革への誓い。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

幼い頃から日本は身近な存在だったと話す鹿島ザーゴ監督。右腕には「父」の文字が刻まれている。

ブラジル代表で優勝、指導者にも恵まれた。

 現役時代は、選手としてブラジル代表まで上り詰めた。1999年のコパ・アメリカでは優勝を経験。ロナウド、ロナウジーニョ、リバウド、ロベルト・カルロス、カフーなど、名だたるメンバーとともに南米制覇を果たしている。

 指導者にもめぐまれた。

「選手時代はブラジルだけでなく、スペイン、日本、イタリア、トルコでプレーする機会を得ました。そこですばらしい指導者たちに出会いました。テレ・サンターナ、ファビオ・カペッロ、ズデネク・ゼーマン、そしてミルチェア・ルチェスク。彼らに共通していたのは、 勝利を追求するとともに、華麗なサッカーを展開することでした。ボールをつなぎ、試合を支配し、攻撃的な展開をしていく。選手時代はDFでしたが、その美しいサッカーに魅了され、指導者としての礎にもなっています」

 2009年、ブラジルのサンカエターノで指導者のキャリアをスタートさせると、ブラジル国内の各クラブで監督を経験し、イタリアのローマ、ウクライナのシャフタール・ドネツクではアシスタントコーチを務めた。シャフタールにはブラジルの若き有望な選手たちが集まり、活躍すればヨーロッパのビッグクラブへ移籍していくステップアップの場だったこともあり、若き才能を伸ばすことの意義を、身をもって学んだ。

ユース交流を活発化、新たな鹿島を。

 その姿勢はアントラーズの監督に就任しても変わらない。

 ユースとの交流を積極的に取り入れ、ユース選手の練習参加、ユースチームとの練習試合など、アカデミーとの連携はより活発化している。各選手の評価は中村幸聖ユース監督や小笠原満男テクニカルアドバイザーにフィードバックとして伝え、アカデミーの監督・コーチも中断期間に練習やトレーニングマッチを可能な限り見学するようにした。

 鹿島はアジアでの勝利、そしてその先にある世界を見据えて、今季を変革の初年度と位置づけた。強化のトップを務める鈴木満フットボールダイレクターは、「家に例えるならリフォームではなく、新築。大胆な改革の必要性を感じています」と語る。

 一貫した強化体制の構築を目指し、トップとアカデミーの全監督・コーチが集うクラブ内の組織「アントラーズ技術委員会」では、ザーゴ監督自らが自身の展開するサッカーの方向性について講義した。トップチームからアカデミーまで、全体でニュースタイルの共有を進めているところだ。

【次ページ】 「チーム作りに魔法はない」

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