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ザーゴ監督が刻んだ日本語タトゥー。
「父」への思いと鹿島変革への誓い。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/02 11:30

ザーゴ監督が刻んだ日本語タトゥー。「父」への思いと鹿島変革への誓い。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

幼い頃から日本は身近な存在だったと話す鹿島ザーゴ監督。右腕には「父」の文字が刻まれている。

「チーム作りに魔法はない」

 改革の先頭に立つザーゴ監督自身は、「チーム作りに魔法はない」と考え、一つひとつメソッドをチームに落とし込んでいる。トレーニングの様子を撮影し、ミーティングでは選手たちが身につけてほしいことを映像に落とし込んで、可視化して伝えている。

「今シーズンは、自分たちからアクションを起こし、相手を動かしながら試合の主導権を 握るようなスタイルを目指しています。昨シーズンまでのリアクションを主体としたサッ カーとは大きく異なるので、練習メニューや映像分析を通じて多角的にアプローチしています」

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、公式戦は中断した。試合ができない。練習ができない。先の見えない不安を抱えるなか、それでもザーゴ監督はポジティブに捉えた。中断期間中もオンラインでのミーティングや分析映像を通じてイメージを共有。スタイルの浸透に時間を費やした。

「中断期間は、すごくいい時間を過ごせました。今後対戦することになるチームの映像を数多くチェックすることができて、コーチ陣とさまざまな意見交換をしました。僕自身、かなりの量の情報をインプットすることができました。そして、チームコンセプトの確認です。中断前までにできていたこと、できなかったこと。これらを整理して、チームの戦い方における全体的なイメージをスタッフ全員で共有しました。チームの全体練習が再開されるまでに、選手たちへ要求する内容やテーマをコーチ陣のなかで統一することができました」

鹿島の選手は「プロフェッショナル」。

 5月28日、およそ2カ月ぶりに全体練習を再開した。

 世界で数多くのチームを率いてきた指揮官から見ても、再開後の選手たちの姿は驚きと頼もしさに満ちあふれていたという。

「もともと非常に高い意識と意欲を持って選手たちは日々のトレーニングに取り組んでくれていましたが、活動再開のタイミングで彼らを目にしたとき、『アントラーズの選手たちは“スーパープロフェッショナル”だな』と感じました。彼らの姿勢を見て、監督として非常にうれしく思いました。そのおかげで、活動再開後は非常にいいトレーニングをこなすことができています。監督である私も、心から公式戦の再開が待ち遠しい思いです」

【次ページ】 左腕に刻みたい「母」の文字。

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