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本田圭佑、移籍2戦目で主将の信頼と
現地評。コロナ禍での再開に疑問も。
posted2020/06/30 20:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Vitor SILVA/Botafogo/AFP/AFLO
本田圭佑が、105日ぶりにピッチへ戻ってきた。
今年2月にリオの古豪ボタフォゴに入団すると、3月15日のリオ州選手権後期第3節バングー戦で初出場初得点。ところがその直後、新型コロナウイルスの感染拡大のためブラジル国内のすべての公式戦が延期され、自宅で専属トレーナーとともに個人練習を積む日々が続いた。
6月上旬、クラブが全選手に実施したPCR検査で陰性が確認され、20日からのチーム練習に参加。28日、本拠地ニウトン・サントス・スタジアムで行われた第4節カーボフリエンセ戦(無観客試合)に先発したのである。
ボタフォゴがこの試合を迎えるまでには、多くの紆余曲折があった。
ボルソナロ大統領と近いリオ市長。
3月中旬の時点で、ブラジル国内では各州のサッカー協会が主催する州選手権、ブラジルサッカー連盟主催のコパ・ド・ブラジル、南米サッカー連盟が主催するコパ・リベルタドーレスが行なわれていた。
このうち、ブラジルサッカー連盟と南米サッカー連盟は6月末時点で再開の時期を発表していないが、州選手権をいつ再開するかは地方自治体と各州のサッカー協会の裁量に委ねられている。
ほとんどの州では、州選手権の再開を7月下旬以降に想定した。しかし、6月初め、リオのマルセロ・クリヴェーラ市長が6月15日以降のプロスポーツの実施を無観客という条件付きで解禁した。ちなみに同市長は、経済優先で「新型コロナウイルスなどちょっとした風邪だ」と言い放ったジャイール・ボルソナロ大統領と政治的に近い。
これを受けて、リオ州協会が州選手権の開催時期について1部12クラブとバーチャル会議を行なったところ、突出した人件費を抱えるフラメンゴ、収入が絶たれて存亡の危機に瀕する中小クラブなど10クラブが早期開催を希望した。
一方でボタフォゴとフルミネンセだけが「感染拡大が終息しておらず、時期尚早」として強く反対したが、多数決で18日からの州選手権再開が決まった。