酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
各成績で2000年代ベスト9を選ぶと。
赤星に小笠原&松中。エースは誰?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKoji Asakura
posted2020/06/29 08:00
そのスピードはまさに“赤い彗星”だった赤星憲広にパ最強打者・小笠原道大。2000年代のスーパースターは個性派が多かった。
最多勝利と奪三振は意外な人?
【2000年から2009年の投手ランキング】
<勝利数5傑>
1 西口文也 103勝67敗
(西武)
2 清水直行 93勝85敗
(ロッテ)
3 松坂大輔 92勝55敗
(西武)
3 上原浩治 92勝58敗
(巨人)
3 下柳剛 92勝65敗
(日本ハム-阪神)
この10年は、西武の西口、松坂というWエースが輝いた時代だった。また松坂と同期の巨人、上原も素晴らしい実績を残した。ロッテの清水は地味ながらも5年連続2けた勝利を挙げている。
ただ、松坂、上原そしてこのランキングにはないが岩隈久志、黒田博樹、川上憲伸、井川慶、和田毅らエース級がMLBに渡る。若くて伸び盛りの投手の人材流出が続いた。
この10年、さらに若い世代のダルビッシュ有(日本ハム)は63勝、田中将大も35勝を挙げているが、彼らもMLBへ。このランキングには無縁だった。
<奪三振5傑>
1 三浦大輔 1319奪三振
(横浜)
2 松坂大輔 1204奪三振
3 杉内俊哉 1202奪三振
(ダイエー・ソフトバンク)
4 上原浩治 1197奪三振
5 西口文也 1181奪三振
意外なことに奪三振は三浦が1位。三浦はこの10年、1654.1回と断トツのイニング数を投げている。横浜は大洋時代から秋山登、平松政次、遠藤一彦、野村弘樹と伝統的に「弱くてもエースがいる」チームだったが、彼も弱いチームで黙々と投げ続けたのだ。
岩瀬、小林雅、JFKと名リリーフが。
<セーブ数5傑>
1 岩瀬仁紀 233セーブ
(中日)
2 小林雅英 227セーブ
(ロッテ)
3 永川勝浩 163セーブ
(広島)
4 高津臣吾 158セーブ
(ヤクルト)
5 豊田清 157セーブ
(西武-巨人)
〇ホールド数5傑
1 ウィリアムス 141ホールド
(阪神)
2 菊地原毅 99ホールド
(広島-オリックス)
3 武田久 98ホールド
(日本ハム)
4 岡本真也 92ホールド
(中日-西武)
5 藤川球児 90ホールド
(阪神)
中日はこの10年間で9回Aクラス、落合博満監督になって2回優勝。その原動力となったのは、岩瀬仁紀という絶対的なクローザーだった。
ホールドは2005年から導入された指標だが、この時期に阪神は「JFK」という「勝利の方程式」を導入。そのうちウィリアムスと藤川が5位以内。久保田智之も82ホールドだった。
杉内を含めて「松坂世代」が全盛。
<防御率5傑(1000イニング以上)>
1 杉内俊哉 2.97
1166.1回79勝41敗
2 松坂大輔 3.00
1222.2回92勝55敗
3 井川慶 3.11
1228.2回85勝59敗(阪神)
4 上原浩治 3.144
1351.1回92勝58敗
5 川上憲伸 3.146
1319回90勝57敗(中日)
投球の精度や奪三振率では、杉内はこの世代で抜群だった。この10年は杉内、松坂、救援の永川、藤川、久保田と「松坂世代」の投手たちが多彩な活躍をした時代でもあった。