酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
各成績で2010年代ベスト9を選ぶと。
坂本や山田&柳田、菅野にマエケン。
posted2020/06/29 08:05
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki/Hideki Sugiyama
2000年代に続いて、2010~2019年までのディケードのベストナインを選考する。
ただし2000~2009年までの10年間と比べて、環境が激変している。
読者各位は覚えておられるだろうか? 2011年に加藤良三コミッショナー(当時)が、MLB仕様とされる「統一球」を導入したことを。この年から極端な投高打低になり、反発係数を測定したところ基準の下限値を下回るなど大混乱した。
その後、調整されて基準値内に戻ったとされるが、この10年は、前の10年に比べて打撃成績は大きく低下している。投打のバランスは大きく変動したのだ。
それを前提に2010年代のベストナインをデータから出していこう。
2010年代で1500安打以上は坂本だけ。
【2010年~2019年の野手ランキング】
<安打数5傑>
1 坂本勇人 1571安打
(巨人)
2 糸井嘉男 1448安打
(日本ハム-オリックス-阪神)
3 大島洋平 1442安打
(中日)
4 秋山翔吾 1405安打
(西武)
5 松田宣浩 1347安打
(ソフトバンク)
前の10年、1500安打以上は3人いたが、この10年は坂本だけ。またスラッガーというよりスピード感のある1番、3番打者タイプが並んでいる。
バレと中村剛也の図抜けた長打力。
<本塁打5傑>
1 バレンティン 288本塁打
(ヤクルト)
2 中村剛也 281本塁打
(西武)
3 松田宣浩 239本塁打
(ソフトバンク)
4 中田翔 226本塁打
(日本ハム)
5 筒香嘉智 205本塁打
(横浜・DeNA)
<打点5傑>
1 中田翔 828打点
2 中村剛也 818打点
3 松田宣浩 764打点
4 バレンティン 763打点
5 浅村栄斗737打点
(西武-楽天)
2013年にNPB記録の60本を打ったバレンティンと、極端な打低だった2011年に48本塁打を打った中村剛也が傑出した存在だ。中田は本塁打数では劣るが、打点は1位。勝負強さが光った。松田宣浩も長打力、勝負強さで鳴らした。パの選手が多い中で、筒香嘉智が本塁打5位にランクインしている。
盗塁数も減少、打率はギータ。
<盗塁5傑>
1 糸井嘉男 259盗塁
2 西川遥輝 245盗塁
(日本ハム)
3 本多雄一 234盗塁
(ソフトバンク)
4 大島洋平 217盗塁
5 荻野貴司 201盗塁
(ロッテ)
前の10年、赤星憲広は381盗塁していたが、この10年は盗塁数も減少している。糸井は35歳の2016年に史上最年長で盗塁王になっている。西川は、200盗塁以上の選手で最も盗塁成功率が高い(.868)。盗塁は「数」ではなく「質」の次元に入ったと言えるかもしれない。
<打率5傑(3000打席以上)>
1 柳田悠岐 打率.319
3003打数958安打(ソフトバンク)
2 マートン 打率.310
3287打数1020安打(阪神)
3 糸井嘉男 打率.304
4757打数1448安打
4 秋山翔吾 打率.301
4674打数1405安打
5 川端慎吾 打率.298
3246打数967安打(ヤクルト)
前の10年は10人いた3割打者は4人となった。柳田は長打力が目立つが、実は広角打法のアベレージヒッターだ。マートンは2010年に当時のNPB記録の214安打をマークしている。柳田は1回トリプルスリーを記録。打率6位(.297)のヤクルト山田哲人は3回トリプルスリーを記録している。