バスケットボールPRESSBACK NUMBER
コロナ禍のなか繋がったコーチの輪。
ウェビナーで世界のバスケを学ぶ。
text by
永塚和志Kaz Nagatsuka
photograph by(c)Get Better Now Zoom Seminar 2020
posted2020/06/08 11:00
講義を行うデイビッド・ブラット氏(右上)と、Gリーグのテキサス・レジェンズ(NBAダラス・マーベリックス傘下)でACを務める伊藤拓摩氏(下)、東頭俊典HC(左上)。
プレーを教えるのではなく、プレーの仕方を教える。
“Don’t teach players plays, teach them how to play.”
参加者からの質問を受け、ブラット氏がそう力説する場面があった。「選手にプレーを教えるのではなく、プレーの仕方を教えるのだ」。コーチの指示通りに動くロボットではなく、コーチの意図を汲んでプレーをさせることが肝要であり、選手の成長をうながすということだ。
余談ながら、大成したスポーツのコーチたちが重要なポイントを話す時、その言葉はえてして短く、簡潔でありながら、しかし示唆に富んでいることが多い。
「プレーを教えるのではなくプレーの仕方を教える」と同様、聞く者にすべての答えを授けるのではなく、その意図を考えるように仕向けるのである。ブラット氏らの話を今回聞いていて、改めてそう思わされた。
シーズン中はライバルであっても。
こうしてチームや所属の垣根を越え、シーズン中はライバルとなる場合もあるコーチたちが、コーチカンファレンスやクリニックといった場でオープンに知見や意見を交わすという文化は、欧米では当たり前のように見られるという。
2013-'14年シーズン。当時、NBLトヨタアルバルク(現・アルバルク東京)のHCだったドナルド・ベック氏(来季から名古屋ダイヤモンドドルフィンズのアドバイザーに就任)が毎月、東京・府中にある同チームの練習施設でコーチ向けのクリニックを開催していたのを思い出す。
当時はまだ、日本の男子トップリーグがNBLとbjリーグに分かれていた日本バスケットボールの“暗黒期”とも言える時期だったが、壁を取り払い、様々な所属の指導者たちにそういった場を提供したベック氏の試みは、非常に刺激的だった。