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コロナ禍のなか繋がったコーチの輪。
ウェビナーで世界のバスケを学ぶ。
posted2020/06/08 11:00
text by
永塚和志Kaz Nagatsuka
photograph by
(c)Get Better Now Zoom Seminar 2020
新型コロナウイルスが世界中のスポーツに影響を与えるなか、日本のバスケットボール界で興味深い試みが行われている。
旗を振るのはBリーグ2部(B2)、アースフレンズ東京Zの東頭俊典ヘッドコーチ(HC)だ。5月の頭から国内のコーチらへ向けてウェブセミナーを開催してきた。いわゆる“ウェビナー”というものだ。
イベントの題名は“Get Better Now Zoom Seminar 2020”。世間の多くの人たちが自粛生活のなかで使うようになったオンライン会議システムのZoomを使い、世界の名のあるコーチたちをゲストスピーカーに招いて講義を開いている。
日本の他の指導者たちにも紹介できないか。
きっかけは、八村塁の所属するワシントン・ウィザーズでアシスタントコーチ(AC)を務めるデイビッド・アドキンス氏だった。ウイルスによる世界的な自粛、外出禁止が始まり、同氏は懇意にしていた東頭氏ら一部のコーチたちに自らが作ったドリルなどを共有してくれたという。
しかし、それを自分のところで止めるのではなく日本の他の指導者たちにも紹介できないか。そんなところからこのウェビナーの案が浮かんだ。
アメリカの大学でプレーし、その後、コーチに転身した東頭氏自身の試行錯誤の経験が腰を上げさせたところもあった。
同氏は2010年から'12年まで日本男子代表のACを務めた。この時の代表に行ってみて初めて「代表って何だろう」と考えさせられたという自省も、今につながっている。
例えば今後、当時の自身のように若いコーチが代表のスタッフとなった時に準備ができているかどうかは、視野を広げ様々なバスケットボールに触れて選択肢を増やしておくことが肝要ではないか。そんな風に思う。
「日本にも実力のある若いコーチたちは多いです。すごい勉強熱心だし。僕は逆に情報をたくさん持ってますけど、それをもっと、良いコーチたちに共有したらどうなるのかっていうのを見てみたいし、そこへの期待があります」
42歳の東頭氏が、言葉に力を込める。