サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡田Jの韓国戦惨敗が今も問うこと。
「チーム作り」とはそもそも何か。
posted2020/05/24 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
チーム作りとは何か――2010年5月24日の韓国戦を起点とするサッカー日本代表の歩みは、本質的な疑問をかき立てる。
2007年12月に日本代表を率いることになった岡田武史監督は、2010年の南アフリカW杯で「世界を驚かせる」と高らかに宣言する。「同じアジアの韓国ができたのだから、日本だってできないことはない」として、2002年の日韓W杯で隣国が成し遂げたベスト4入りをターゲットに掲げた。
意外性に富んだ戦術や戦略を、用意したわけではない。岡田監督は「常識を疑って、勇気を持ってチャレンジしろ」と選手たちに繰り返し訴えた。日本人選手の潜在能力と長所を最大限に引き出そうとした意味では、イビチャ・オシム前監督が提唱した「日本サッカーの日本化」に相通ずるところがあったかもしれない。とにもかくにも、ロマンを感じさせる船出だった。
難なくW杯出場を決め、世界仕様へ。
岡田監督の就任からおよそ1年半後の2009年5月、日本はチリとベルギーにどちらも4-0で連勝する。どちらの来訪者もベストメンバーではなかったが、日本も集合から2日後にチリ戦を迎え、その4日後にベルギー戦を消化している。
「尻込みせずに、相手ボールになっても後ろに下がらず、やろうとしていることを自信を持ってやってくれた」と指揮官が評価したチームの姿勢は、成長を感じさせるものだったと言っていい。
直後のW杯最終予選ウズベキスタン戦でW杯出場を決めると、ここからは世界を意識したテストマッチへ挑んでいく。9月にはオランダ、ガーナと対戦し、11月にはW杯ホスト国を訪ねた。オランダにはラスト30分で3失点と力の差を見せつけられたが、ガーナには4-3で競り勝った。アウェイの雰囲気に包まれた南アフリカ戦は、スコアレスドローで収めた。
ところが、W杯イヤー突入とともにチームの歩調は乱れる。