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岡田Jの韓国戦惨敗が今も問うこと。
「チーム作り」とはそもそも何か。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2020/05/24 11:40

岡田Jの韓国戦惨敗が今も問うこと。「チーム作り」とはそもそも何か。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

日本サッカーにおいて、韓国に敗れることの意味は大きい。しかしこの敗戦が、躍進へのスタート地点だった。

韓国に2度の敗戦、ブーイング。

 2月の東アジア選手権で、韓国に1-3の完敗を喫した。4月には控えメンバー中心のセルビアに屈する。エスパニョールから横浜F・マリノスに復帰した中村俊輔が先発したものの、彼自身もチームも良いところなく0-3で敗れた。

 韓国戦とセルビア戦は、長谷部誠(ヴォルフスブルク)、松井大輔(グルノーブル)、本田圭佑(CSKAモスクワ)、森本貴幸(カターニャ)の海外組が不在だった。長谷部と本田がスタメンに入った5月24日の韓国戦は、負の流れを断ち切る機会との意味合いが強まっていった。W杯の壮行試合という位置づけを除いても、ホームの韓国戦は負けられないバトルである。

 ここでまた、チームは失態を演じる。5万7000人を超える観衆の面前で、無抵抗のまま敗れてしまうのである。マンチェスター・ユナイテッド所属のパク・チソンに格の違いを見せつけられ、チームとしての仕上がりの違いを突きつけられた。

 センターバックの田中マルクス闘莉王が負傷欠場していたとはいえ、0-2の敗戦に言い訳が入り込む余地はなかった。試合後のスタジアムに響いたブーイングは、怒りと諦めの色に染まっていた。

内田、俊輔、岡崎を外し4-1-4-1へ。

 W杯の初戦は、3週間後に迫っている。「ベスト4入り」どころかグループステージ突破さえ絶望的ななかで、岡田監督はメンバーの組み替えと戦術の変更に踏み込んだ。

 コンディションの上がってこない内田篤人と中村俊輔、それに得点から遠ざかっている岡崎慎司をスタメンから外す。さらにはGKを楢﨑正剛から川島永嗣に変更し、ゲームキャプテンを中澤佑二から長谷部誠とする。システムは4-2-3-1から4-1-4-1へ変更された。

「守備的にしたとか、理想を捨てたとか言われたけど、そうではなかった」

 岡田監督はのちにこう話している。しかし、4バックの前にアンカーとして阿部勇樹を置き、ボランチの遠藤保仁と長谷部も起用する人選は、客観的に判断してディフェンス重視である。2列目の両サイドに入る松井大輔と大久保嘉人にも、守備のタスクが強く求められた。

【次ページ】 ロマンからリアルへの変節。

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