ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
ブンデス運営が見せた秩序と気概。
長谷部誠&鎌田大地には苦い再開に。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/05/18 11:50
無観客試合で、長谷部誠ら選手も徹底した対策の中で実施されたブンデスリーガ。それでも多くの人がスポーツを観る喜びを再確認したはず。
ドルトvs.シャルケの会場周辺も閑散。
試合前に懸念されていた、サポーターがスタジアム近辺まで来てしまうのではないかという問題ですが、こちらは幸いにも各試合で問題は起きませんでした。
アイントラハトのサポーターは熱狂的で、たびたび抗議の意味合いでバナーを掲示したり、自主的な観戦拒否をしたりといった意思表示をすることで有名ですが、試合当日のホームスタジアム、コンメルツバンク・アレナには運営担当者以外の人影はありませんでした。
ドルトムントvs.シャルケの『レビアダービー』は警戒度が高く、多くの警官を動員して警備に当たったようですが、スタジアム周辺は閑散としたもの。試合前に有料放送『Sky』のレポーターがスタジアム周辺の様子を報告した際は、ジョギングやサイクリングをする市民が後方に映り込んだりなんかして、なんだかほのぼのとしていました。
改めてドイツのサポーターは秩序がある。
ドイツのサポーターの方々は改めて秩序立っているなと感じました。
そもそも普段のブンデスリーガでは、試合に向かうサポーターが電車やトラム内でビール瓶をラッパ飲みしているシーンに度々出くわします。公共交通機関での飲酒の是非はさておき、凶器になり得るビール瓶を持ち込んでも、暴力行為や乱闘行為がほとんど起こらないところに、この国のサポーターの絶妙なバランス感覚を感じます(褒めています)。
個人主義の下、ある程度の自由を享受しようとする反面、明確に規則として明示されたことにはしっかりと従う。それがドイツ人特有の振る舞い方なのでしょうね。
僕の住むフランクフルトは5月15日の金曜日から、レストラン、カフェ、バーなどの飲食店の営業再開が認められました。
こちらのお店ではテレビを設置しているところも多く、週末はブンデスリーガの試合を流すお店もあります。
そのようなお店は当然、無観客試合によってスタジアムへ行けないサポーターたちのために試合の模様を流していましたが、あるバーのお客さんの様子を観察すると、彼らはちゃんと各自1.5m以上のソーシャルディスタンスを保って整然と試合を観戦していました。