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バドミントン強国への第一歩だった。
男子団体、初の世界制覇を振り返る。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/05/25 11:00
2014年、バドミントン男子の団体世界一決定戦「トマス杯」で優勝した日本代表。これが今の隆盛の第一歩だった。
女子の活躍が先行したが、男子も奮起。
また、「オグシオ」こと小椋久美子、潮田玲子が人気を集めるようになると、協会もポスターの展開など積極的に後押しをした。
そうして得た資金を海外遠征をはじめ強化費として用いることで、少しずつ成績を伸ばしていった。
2008年の北京五輪では、女子ダブルスで末綱聡子、前田美順が準決勝に進出、メダルまであと一歩の4位となる。
2012年のロンドン五輪で、藤井瑞希、垣岩令佳組がついに銀メダルを獲得する。
ここまでは、女子の活躍が先行していたが、それに遅れまいと男子も奮起。
その成果が、トマス杯の優勝だった。
バドミントンの地位の向上も進んだ。
「自分たちもやれる」と、ここで得られた手ごたえも糧にしつつ、紆余曲折はあったが桃田は世界のトッププレイヤーとなった。
早川・遠藤組は2015年の世界選手権3位、2016年のリオデジャネイロ五輪5位入賞など活躍。遠藤は早川の引退後は渡辺勇大と組み、今年3月の全英オープンで男子ダブルスでは日本初の優勝を遂げた。
男女シングルス、ダブルス、ミックスダブルスすべての種目で、日本は上昇曲線を描き、世界のトップレベルにある今日、念願としてきたバドミントンの地位の向上も進んだ。
そうしたバドミントンにおける世界の強豪となり、関心を高めたのは、男子の活躍もあってこそ。
現在の視点から見ても、大きな意味のあるトマス杯の優勝だった。