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五輪延期で再燃する分配金問題。
すでに深刻な財政難の競技団体も。

posted2020/05/24 11:30

 
五輪延期で再燃する分配金問題。すでに深刻な財政難の競技団体も。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

2018年、東京都北区のナショナルトレーニングセンターを訪れたバッハ会長。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 2021年に延期となった東京五輪。とはいえ、新型コロナウィルスの状況や今後を考えれば、予断を許さない。

 一方でさまざまな競技団体の職員からはこうした趣旨の声を聞く。

「オリンピックが開催されないと、今後がとても厳しいです」

 それくらい、各競技にとって、オリンピックの存在は大きい。それは運営を支える金銭的な側面だ。

 オリンピックは金銭的にどれだけ影響力を持っているのか。

 その手がかりは、国際オリンピック委員会(IOC)がホームページで公開している収入、支出などの資料にある。

東京五輪の競泳が「午前決勝」となった理由。

 それによれば、2009年から2012年のIOCの収入は約52億ドル、そして、ソチ五輪とリオデジャネイロ五輪を挟む2013年から2016年の4年間は約57億ドルとなっている。収入のうち、約73%は、テレビ放映権料が占めている。

 テレビ放映権料のトップはアメリカのNBCネットワークの約21.9億ドル。全体の収入の約38%となる。

 オリンピックでは、アメリカでの放送時間帯に競技のスケジュールが左右される。たとえば、東京五輪の競泳が、通常の夜ではなく「午前決勝」となったのもアメリカでの放送時刻に配慮してのものだ。

 NBCによる莫大な放映権料が背景にあることがあらためて分かる。

 収入はどう使われるのか。支出の約90%は、各国のオリンピック委員会、各国際競技団体への分配金になる。

【次ページ】 競技ごとにランク付けされて分配金が変わる。

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