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“コロナ後”に向けて。若い力がつなぐ
スポーツクライミングの底力と可能性。
posted2020/05/26 11:00
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph by
AFLO
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、東京五輪の開催は1年あまりの延期になったが、その影響は今シーズンだけにとどまらず、4年後の2024年パリ五輪に向けた活動にも及んでいる。
まずは現況を整理しておこう。国際統括団体IFSCは、5月1日発表という当初予定よりも1週間ほど早い4月23日に、7月にフランスなどで予定されていたW杯3大会の延期を決めた。
これは3月13日からロックダウン(都市封鎖)措置をとるフランスで、4月13日にエマニュエル・マクロン大統領が、7月中旬までのイベント禁止措置の継続を示唆したことを受けてのものだ。
この発表から2週間後の5月7日には、スイスで開催予定だったW杯ボルダリング開幕戦マイリンゲン大会と、W杯リード第2戦のヴィラール大会の中止が決まった。さらに5月14日には9月下旬に予定されていたW杯リード・リュプリャナ大会の中止も決定した。スロベニアでのW杯は1996年から昨季まで24年連続してクラーニで行われてきたが、同国の天才クライマー、ヤーニャ・ガンブレッドの活躍によって今年は初めて首都での開催になっていたものの、歴史的な一歩は来季以降に持ち越されることになった。
世界ユース選手権の開催はどうなる?
その一方で、光を感じる発表もあった。アジア選手権の開催が、12月10日から13日まで中国・廈門(アモイ)で行われることになった。男女の優勝者に五輪出場権が与えられる舞台で、日本代表選手たちはレベルの高い中国や韓国の選手たちとの熾烈な戦いに挑むことになる。
また、IFSCは4月23日の発表では、8月にロシアで予定される世界ユース選手権については6月1日にアナウンスするとしている。ロシアの新型コロナウイルスの感染者数は3月末からの1カ月間で80倍超ペースで増加していることを踏まえれば、予定通りの開催は難しいかもしれない。
国内で史上初めて中止が決まった高校総体(インターハイ)と同様に、年齢制限のある大会の中止による選手たちの喪失感や、進路などに及ぼす影響は大きい。それだけに、世界ユース選手権が開催されることを願ってやまない。