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JのMVP、代表で目立つ大卒の好選手。
相馬勇紀&外池監督に聞いた濃密さ。
text by
森迫雄介Yusuke Morisako
photograph byKanae Ishiguro
posted2020/05/03 11:30
早大ア式蹴球部時代の相馬勇紀と外池監督。大学サッカーを経由することで人間的にも大きくなった好例だ。
理不尽な体育会系はとっくに終わり。
「ひとつひとつの行動や活動を自己完結させずにさらけ出し、世間の反応などの評価を導きだしてほしい。それは将来必要になってくるビジネス感覚などに紐づいていくことになります。
昔は大学生にも社会人にもステレオタイプがあり、体育会系は理不尽なことも文句を言わずにやる、というのが必要な時代でした。でもその時代はとっくに終わり、体育会の新しい姿が生まれつつあります。なぜ大学でサッカーをするのか、この時間をどうやって次に生かすかを自分たちで考えて、最終的にサッカーをしてよかった、と思ってほしい。
結果的にJリーガーになれなかったから今までやってきたことは全部無駄だった、と思ってしまうのは不幸ですし、サッカーの本質はそこではないと思います」(外池氏)
行き先がプロであろうがなかろうが、サッカーをやめる時は必ずやってくる。「サッカーこそ自分の人生」と言い切れるキャリアは理想だが、それを実現できるのはほんの一握り。大半の選手にとってサッカーは、豊かな人生を送るための手段の1つに過ぎない。
サッカー以外の新しい武器を。
高校年代までサッカー漬けだった選手たちにそのことを認識させ、サッカー以外の新たな武器を身につける時間を与える。大学での4年間には、そういった意味合いも含まれているのだろう。
「1人の人間として大きく成長できた」
相馬を始め、大学生活を終えた選手たちは口を揃えてこう語る。
4年間を通して彼らに共通して植え付けられたのは「サッカーだけをしていてはダメだ」という意識。サッカー選手である以前に社会の一員であることを自覚した上で、人として成熟するために新たな学びを求めなければならない。
多種多様な人間が混在し、様々な価値観に触れることができる大学は、そんな学びを得るのにうってつけの環境である。