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箱根を走った東大院生が追求する
「アスリート兼研究者」という生き方。

posted2020/04/19 09:00

 
箱根を走った東大院生が追求する「アスリート兼研究者」という生き方。<Number Web> photograph by GMO Athletes

GMOインターネットグループ所属の近藤秀一(左)。東大4年時の2019年には学生連合の一員として箱根駅伝を走った。

text by

吉田直人

吉田直人Naoto Yoshida

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GMO Athletes

「運動時の疲労の全体像は、まだ科学的に解明されていない部分が多いんです」

 発売中のNumberDo「ランニングを科学する」では、「ランナーの疲労を徹底解剖する」という記事の執筆を担当した。その際、東京大学の八田秀雄教授から伺ったのが上述の言葉だ。乳酸研究をはじめ、運動生理学の世界的権威である八田教授にこう言わしめるほど、運動中の人間の体内では複雑なメカニズムが働いている。

「疲労」に関してだけでなく、未解明の部分が多い「人体と運動」という領域。その点で運動生理学は、人類の謎に挑む最前線の学問と言えるだろう。

 そんな八田教授のラボで修士課程の一員として日々研究に取り組むのが、近藤秀一だ。「東大生箱根駅伝ランナー」として記憶に新しい人も多いのではないだろうか。近藤は現在、実業団ランナーと大学院生の二足のわらじを履いている。

 走ることに魅せられた東大生。彼のアスリート兼研究者としての生き様を取材した。

自他共に認める“陸上オタク”。

「僕は“陸上オタク”なんです。だから、陸上をいろいろな角度から考察していきたいと思っています。そこで、走っている時に体の中で何が起きているのかを知りたいと考えました」

 近藤は現在、実業団陸上チームの「GMOインターネットグループ」に所属する傍ら、東京大学大学院の修士課程で、運動生理学の研究を行っている。

 近藤が取り組むのは「血中乳酸値と競技力の関係性」についての研究だ。端的に言えば、ランナーの血中乳酸濃度を測定し、そのデータを基に、パフォーマンスの推定や、競技における課題の発見に役立てることが目的だという。

 研究の協力者は主に、近藤の周囲にいるランナーたち。近藤は、週に1~2回ほど、GMOインターネットグループの拠点がある埼玉県東松山でチーム練習を行うが、それ以外は東大駒場キャンパスのトラックなどで練習を積む。練習パートナーは東大の陸上部員や、都内在住のエリート市民ランナーだ。彼らの協力を得て、なおかつ近藤自身も被験者になる。

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