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名将リッピ、カンナバーロにピルロ。
イタリアW杯優勝の団結力を今こそ。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/04/17 11:50
デルピエーロやカンナバーロ、ピルロらを巧みに起用し、アズーリをW杯優勝に導いたリッピ。その采配術は偉大だった。
クラブチームのような意思疎通。
一体感のあるチームを作るため、リッピはクラブチームのようなコミュニケーションを重視したという。
各クラブで活躍する代表選手たちに、日頃から友達のように連絡を取り合うことを推奨。'06年2月、トッティが左足首にタックルを受けてボルト8本を埋める重傷を負い、W杯出場が絶望視された状態でも合宿に呼んだ。
「選手たちと話をするだけでも私は全然構わんよ。むしろそのために来い。楽しくおしゃべりしようじゃないか」と誘い、グループの一員として安心感を与えたという。
強さの秘訣は一体感。イタリアはチームとして優勝をもぎ取ったのだ。
国難に瀕している今だからこそ。
あれから14年、イタリアは新型コロナウイルス禍という国難に瀕している。
サッカーを始めとしたスポーツも止まってしまった――いや、それは小さいことだ。
感染者は10万人を突破し、死者数は増え続けている。そこで、政府関係者は国民に協力を求めた。死者が続出し、医療関係者の疲弊が連日のように報道され、社会の公衆衛生を保つために人々は生活の自由を抑制せざるを得ない。
そんなとき必要とされたのは、国民ひとりひとりが集団のために仕事に励むという“団結心”だったのである。
世界一に輝いたドイツW杯で、アズーリの選手ひとりひとりが見せたのもチームワークだ。あのときと同様、集団のために個々が力を持ち寄り、問題に立ち向かうことが求められている。