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名将リッピ、カンナバーロにピルロ。
イタリアW杯優勝の団結力を今こそ。
posted2020/04/17 11:50
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Getty Images
イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大して、大幅な移動と外出規制を課す首相令が出された数日後の3月14日。衛星TV局スカイ・イタリアはプログラムの特別編成を行い、2006年ドイツW杯イタリア代表の全7試合プレーバックを行った。
朝の6時から夜の12時までぶっ通しである。目的は、自宅待機ならびに外出禁止を余儀なくされた人々の気持ちの高揚だ。
“#orgoglioitaliano(イタリア人の誇り)”というハッシュタグで展開されたこのキャンペーン、視聴率も割と良かったのだという。
2006年ドイツW杯優勝、イタリア代表が獲得した最後のタイトル。その後、低迷期へ突入していく歴史を振り返れば、まさにイタリアのサッカー界が、そして、イタリアのサッカーファンが手にした最後の栄光とも言える。
タレント軍団が見せた“団結力”。
DFラインとゴールマウスにはファビオ・カンナバーロにジャンルイジ・ブッフォンといった重鎮が居座り、中盤ではミランで若手からワールドクラスに成長したアンドレア・ピルロ、ジェンナーロ・ガットゥーゾが躍動。
また、アレッサンドロ・デルピエーロ、フランチェスコ・トッティという2人のファンタジスタに加え、プロビンチャ(地方クラブ)で実績を築き上げていたルカ・トーニにアルベルト・ジラルディーノが前線で体を張る。
競争力と国際的な実績を兼ね備えたタレントが、どのポジションにもバランスよくそろっている。そんな素晴らしい陣容だったが、この集団が世界王者となった最大の理由は“団結力”だ。
2年契約で監督を務めていたのは名将マルチェロ・リッピ。クラブチームと同様の手法で組織戦術を整え、的確で入念なチームマネジメントでタレント軍団を1つのグループに仕立て上げた。
そうして培った一体感こそが、W杯の連戦を戦い抜く力となって作用したのである。