“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J再開後に期待したい大卒ルーキー。
後編・注目の即戦力は札幌と横浜FC。
posted2020/04/10 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
前編に引き続き、Jリーグ大卒ルーキーを分析していく。後編は大分トニリータから見ていこう。
※開幕戦の出場状況/★…フル出場、◎…途中交代、○…途中出場、△…ベンチ入(未出場)、-…ベンチ外
<大分トリニータ>
DF羽田健人(関西大)→-
高卒ルーキー診断でも述べたように、今季の大分の補強ポイントはボランチから後ろ。特にその中で不足していたのがCBだった。そのため大分は高卒、大卒、完全移籍という3つのカテゴリーから3人のCBを獲得している。
羽田は185cmの大型CB。金光大阪高時代からフィジカルに優れ、両足から繰り出されるフィードが魅力の選手だった。関西大ではよりパワーと読みの鋭さに磨きをかけて、プレーの幅が広がった印象を受ける。昨季は特別指定選手としてJ1第33節のベガルタ仙台戦でスタメン出場を飾るなど、すでに片野坂知宏監督ら首脳陣の期待も高い。CBだけではなく、ボランチとしても計算できる選手なだけに、Jリーグのピッチで躍動する姿が見られるかもしれない。
若手育成に定評があるミシャのもとで。
<北海道コンサドーレ札幌>
MF田中駿汰(大阪体育大)→△
MF金子拓郎(日本大)→△
MF高嶺朋樹(筑波大)→△
札幌は所属選手全員に更新オファーを出したように、チーム全体を見渡しても入れ替えが少ないオフとなった。移籍した選手がわずか2人と戦力を維持する中で、即戦力クラスの大卒ルーキー3人を獲得して補強を終了している。
金子は、前橋育英高時代から左サイドからの突破が目立ち、時折見せる左足の精度の高いスルーパスとクロスもポテンシャルの高さを示していた。その後、進んだ日大では主に東京都1部リーグでのプレーとなり、関東大学リーグで活躍する他の選手たちに水を開けられた状態だったが、恩師・山田耕介監督(前橋育英)から「拓郎は教えられないものを持っている。プロで通用するタレントだと思う」と期待をかけられる逸材は、持ち味のドリブルを磨いてJクラブスカウトの目に止まる存在にまで成長した。
昨季はいち早くJリーグデビューを果たし、リーグ6試合、ルヴァンカップ8試合に出場。ルヴァンカップでは初ゴールを挙げている。トップ下、ボランチ、左サイドと攻撃的なポジションならどこでもこなせる彼は、攻撃のジョーカー的な存在として期待が大きい。
東京五輪代表にも招集されている田中は、183cmの高さと足元の技術を兼ね備えたボランチだ。大阪体育大ではフィジカルレベルも上がり、持ち味である展開力がより引き出せるようになった。CBもこなせるのが魅力で、開幕戦では守備のバックアップとしてベンチ入り。今後、十分にスタメンを狙える存在だろう。
高嶺は地元育ちの下部組織出身選手だ。アイデア豊富なパスでゲームを組み立てられる存在だったが、トップ昇格は叶わず、大学進学を選んだ過去がある。悔しさをバネに、筑波大ではラストパスの精度と攻守の中継点としてのインテリジェンスを身につけ、大きく成長して古巣に帰ってきた。攻守に貢献できる高嶺をペトロヴィッチ監督は高く評価しており、主力組で臨んだルヴァンカップ開幕戦ではボランチとしてスタメン出場。J1開幕戦はベンチ入りのみに留まったが、即戦力としての期待は高まるばかりだ。