“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J再開後に期待したい大卒ルーキー。
後編・注目の即戦力は札幌と横浜FC。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/04/10 07:00
特別指定選手として昨季からレギュラーの座を掴んでいる横浜FC・松尾祐介(37番)。スピードあるドリブルで旋風を巻き起こせるか。
清水、名古屋の大卒ゼロの理由は?
<清水エスパルス>
なし
今季の清水は高卒選手である、川本梨誉、ノリエガ・エリック(ユース)、鈴木唯人(市立船橋)、栗原イブラヒムジュニア(三菱養和SC)の4人のみ。これで10代選手が充実し、20代前半の選手も各ポジションにバランス良く配置されているため、大卒を獲らなかったことは納得できる。
これまでの清水はどちらかというと高卒選手を意欲的に獲得するイメージだが、昨季は下部組織出身の西澤健太を筑波大から獲得し、ブレイクさせた。来季の発表はまだないが、大卒選手の獲得に動く可能性はある。ポジション的にはボランチが最優先事項か。
<名古屋グランパス>
なし
清水同様に名古屋も石田凌太郎、三井大輝(ユース)、吉田晃(九州国際大付嘱)の高卒3人に留まった。昨年はMF榎本大輝(現・徳島ヴォルティス)、渡邉柊斗(共に東海学園大)を獲得し、2021年度には同校からMF児玉駿斗の内定をすでに発表しているだけに、今季は「獲る年」ではなかった。
児玉は中央学院高、東海学園大という榎本と同じルートを辿るインテリジェンス溢れるMFで、大学2年になろうとしている段階で内定が発表され、一昨年にはJ1リーグで4試合にスタメン出場するなど、計リーグ8試合を経験済み。昨季はルヴァンカップのみの出場になったが、プロでの経験は豊富だ。
ポジショニングとボールタッチが正確で、見えている範囲も広く、スルーパス、ノールックパス、サイドチェンジのパスと相手の逆をとるパスで局面を変えられる。攻撃のリズムを作り出す存在として、今季の活躍が期待される存在だ。
果たして来季の大卒補強は児玉1人に終わるのか、それとも新たな大卒新人を獲るのか。補強ポイントはGK、ストライカー、ボランチあたりか。
ヴェルディらしい技巧派が浦和に。
<浦和レッズ>
なし
今季の大卒獲得はなかった浦和だが、2021年シーズンに向けてMF大久保智明(中央大4年)の獲得を発表している。大久保は東京ヴェルディの下部組織で育った技巧派レフティーで、躍動感あふれるドリブルとシュートセンスが光る。中央大では「とにかく仕掛けろ」と佐藤健監督から言われていたように、得意のドリブルを磨き上げた。スピードの緩急、足裏とアウトサイドのボールタッチの使いこなし、そして多彩な引き出しを持つ、いかにも“ヴェルディらしい”選手が、浦和にやってくるのだ。
シャドー、トップ下、両サイドをこなせ、4-2-3-1、3-4-2-1のどのシステムでも適応できる楽しみな存在だ。若返りを図るレッズの象徴となるか。