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降格危機にサポーターは辛辣な罵声。
大迫勇也とブレーメンの正念場。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/04/06 11:40
リーグ再開は“早くて5月から無観客試合”という案もある。それが実現した際、ブレーメンと大迫勇也は力を発揮できるか。
ケガから復帰後にチームが失速。
しかし昨年の11月中旬あたりからチーム成績が下降すると、スタジアムの雰囲気やサポーターの言動に変化が生じたように感じました。
ちなみに大迫は昨年9月下旬から10月下旬までの約1カ月間、ハムストリングの怪我で戦線離脱していました。
当時のチームはリーガ5試合で4分1敗と低調ながら、それでも試合内容は相手と互角で、少なからず勝ち点も積み上げられていました。しかし、大迫が復帰した第10節から第25節までの15試合は2勝2分11敗と急失速……。それが現在の成績へと反映されています。
そんなブレーメンに正真正銘の危機が訪れたのは、おそらくウィンターブレイクに入る前の12月だったと思われます。
14日の第15節、アウェーのバイエルン・ミュンヘン戦はミロト・ラシカの先制点でリードしたにも関わらず、その後6失点で惨敗。続くホームでの第16節・マインツ戦はゲームコントロールすらままならないまま5失点して、これまた完敗を喫しました。
サポーターからの辛辣な罵声。
バイエルン戦、マインツ戦ともに現地で取材しましたが、チームの雰囲気は暗く、試合後の選手たちの足取りは重たく感じられました。何より普段は快活で饒舌なフロリアン・コーフェルト監督が試合後の会見で言葉少なだったことが気になり、チームがトンネルに迷い込んだ印象を強く受けました。
心穏やかなブレーメンサポーターも、さすがに辛辣な態度を示しました。マインツ戦の大迫はラシカとともに2トップを形成しましたが、味方からのパスを後ろ向きで受けても相手DFにボールを奪われたり、倒されたりすることの連続で、その度にサポーターからのブーイングと、ここでは記せないような厳しい罵声を浴びせられていました。
おそらく大迫自身にもサポーターの声は届いていたはずで、忸怩たる思いを抱きながらプレーしていたことと思います。
ただ、負傷から復帰した後の彼のプレーは僕から見ても低調に感じました。