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降格危機にサポーターは辛辣な罵声。
大迫勇也とブレーメンの正念場。 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2020/04/06 11:40

降格危機にサポーターは辛辣な罵声。大迫勇也とブレーメンの正念場。<Number Web> photograph by Getty Images

リーグ再開は“早くて5月から無観客試合”という案もある。それが実現した際、ブレーメンと大迫勇也は力を発揮できるか。

ポストが冴えず、無得点が続く。

 何よりストロングポイントだった最前線でのポストワークに安定感がない点は、非常に心配でした。

 大迫としては自身のプレーでチームを低迷から救いたいと思っていたはず。しかし、その心と身体がシンクロせずにプレーレベルを減退させて、それがチーム力にも波及していたように感じました。

 攻守ともに機能しない惨状のなか、クラブはウィンターブレイク中にある決断をします。今季、コーフェルト監督はマックス・クルーゼが移籍した最前線のファーストチョイスに大迫を指名したのですが、そのポジションのてこ入れを図るため、ヘルタ・ベルリンからダビー・ゼルケをレンタルで獲得したのです。

 そして、ウィンターブレイク明けのゲームではゼルケが1トップを務め、大迫は試合終了間際の投入。その後はラシカとともにセカンドトップのポジションでプレーしています。その影響もあって、第12節のシャルケ戦以来約3カ月半の間、ゴールから遠ざかっています。

3月には3トップ採用で途中出場に。

 大迫のポストワーク、そして、相手ペナルティエリア内でのフィニッシュワークは高く評価されてきました。ブンデスリーガの舞台でも十分通用しており、その結果ブレーメン在籍2シーズン目にしてエースに抜擢されたわけです。

 よって、その能力を疑うのは時期尚早だと思います。そもそもブレーメンの低迷は大迫のプレーだけに要因があるわけではなく、ディフェンスラインの不安定さや中盤のポゼッションワーク不備、そして大迫以外のFW陣の得点力不足にも起因しています。

 ただ、クラブとしては、このまま手をこまねいて低迷を受け入れるわけにはいかない。3月7日の第25節ヘルタ・ベルリン戦は前線を昨季と同様にワイド3トップとし、頂点にジョシュア・サージェント、左にラシカ、右にレオナルド・ビッテンコートという布陣で2-2の引き分けに持ち込んでいます。

 この試合、大迫は残念ながら途中出場で7分間のプレーでしたが、今後もコーフェルト監督はリーガ中断期間を挟んで様々なシステム採用を考慮しつつ、選手を入れ替えながら最善策を模索し続けるでしょう。

【次ページ】 牧歌的で柔和で温かな街のクラブが。

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大迫勇也
ブレーメン

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