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降格危機にサポーターは辛辣な罵声。
大迫勇也とブレーメンの正念場。
posted2020/04/06 11:40
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルスの影響で、ドイツ・ブンデスリーガは中断を余儀なくされています。中断前に第25節まで消化していますが、長谷部誠と鎌田大地が所属するアイントラハト・フランクフルトと大迫勇也が所属するベルダー・ブレーメンは、24試合の消化に止まっています。
これはアイントラハトのUEFAヨーロッパリーグ、レッドブル・ザルツブルク戦が悪天候で延期されたため、両チーム同士のゲームがリスケジュールとなったためです。
その時点でブレーメンは勝ち点18の17位。最下位のパーダーボルンは勝ち点16。16位のデュッセルドルフは勝ち点22、15位のマインツが勝ち点26となっています。
つまり、ブレーメンは1試合消化数が少ないものの、最下位とは勝ち点2差。ブンデスリーガ2部3位との入れ替え戦に回る16位とは勝ち点4差。1963年に創設されたブンデスリーガにおいて、1979-80シーズン以来となる2部降格の危機に晒されています。
「オオザコ」と壮大なコール。
ブレーメンの街には、大迫勇也の取材で何度も訪れています。ブレーメンは自由ハンザ都市ブレーメンの州都ですが、人口はドイツ国内で11位の約57万人で、首都ベルリンの約361万人、ブレーメンと同じく北ドイツに位置するハンブルクの約183万人に比べれば地方の小都市といった趣です。
中心部から路面電車で約15分のところにあるホーム、ベーザー・シュタディオンはベーザー川の川岸にあり、周囲には閑静な住宅街が広がっているため牧歌的な雰囲気を感じます。
そうした風土もあいまってか、ブレーメンサポーターは熱狂的でありながらも、どこかフレンドリーな印象を受けます。僕のような日本人を見かけると「どこから来たんだ? 日本? おお、オオザコ!(ドイツ人はSの発音が濁るのです)」と声を掛けてくれる方に何度も出くわします。
また、サポーターの声援も選手を鼓舞したり後押ししたりするものが多く、特にチームが劣勢に立った際に沸き立つ壮大なコールは、頼もしく感じるのと同時に温かな空気をも纏っています。