リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ、レアルですらほぼ無収入。
コロナ禍はリーガ史上最大の危機。
posted2020/04/05 20:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
3月13日、スポーツコンテンツの放映権を管理する『メディアプロ』の最高経営責任者ジャウマ・ロウラスはカタルーニャラジオの番組に出演し、前日発表された試合中断がリーガにもたらす経済的損失について語った。
「実際にどれほどの痛手になるのか算出するのは難しいが、6億ユーロ(約715億円)は超えるだろう。テレビ放映権が5億5000万ユーロ(約650億円)、チケット収入も1億5000万ユーロ(約180億円)はあったはず」
テレビ放映権が消えて火の車。
今日、クラブ財政の柱となっているのはテレビ放映権から得られるお金だ。
会計事務所『デロイト』が毎年発行しているサッカークラブの財務状況レポートFootball Money League2019年版によると、2017-18シーズンのR・マドリーやバルセロナは全収入の3分の1、アトレティコの場合は2分の1超がそれに該当する。
スタジアムが小さく、サポーターの数も限られている他のクラブは、スポンサー契約やマーチャンダイジング、入場料による収入が少なくなるので、この割合はなお大きくなる。
つまり、シーズンが停まって2週間、リーガのクラブはどこも火の車ということだ。
そうしたなか、真っ先に音を上げたバルサは3月26日、政府に「一時雇用調整」の適用を申請した。
スペインの労働法は、不況等で業績が著しく悪化した企業が期間を定めて、雇用契約を停止もしくは労働時間を3割から7割まで減らすことを認めている。
期間中、被雇用者は無給(労働時間減少の場合は給与額減少)となるものの、減額の場合も含めて失業手当は支給されるし、元の職場への復帰も約束されている。