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フランスサッカー界のVAR評。
「この胡散臭い技術はどこからだ?」
text by
ジャンマリー・ラノエJean-Marie Lanoe
photograph byL'Equipe
posted2020/04/01 11:30
複数のカメラ、広い視野、スローモーション……あらゆる技術を持つはずなのにVARは問題を解決できていない。
ビデオの介入する場面がどんどん増えている。
国際サッカー評議会(IFAB/サッカーのルールの制定などに携わる機関)が定めたVARの介入要件は以下の4つの場合に限られる。
得点かどうか、ペナルティキックが与えられるべきか否か、レッドカードに値する行為かどうか、反則行為を犯した選手の特定が誤っていないかどうか、である。
オフサイドに関して判定はより厳密になり、ペナルティエリア内のハンドについてもビデオの介入する場面は多く、それがまた議論を呼んでいる。
「今はまだ規則を変更するときではない」
審判部長であるパスカル・ガリビアン(編集部の質問に対し、公に回答することは拒否)は、第11節終了時点でおおむね肯定的な総括をしている。
VARにより70%の誤審が訂正され(343の場面でVARが介入し、36の判定が明らかな誤りであると指摘され、25の明確な誤審が訂正された)。主審の確認を必要としなかったVARの介入によるプレー中断時間の平均は98秒で、主審がモニターで確認した場合は153秒であった。
ただ、そうした時間のロス以上に、VARはネガティブな印象を観客や選手、スタッフなど、試合にかかわるすべての人々に与えている。かつてのレフリーで、現在はレキップTVの解説者を務めるサイード・エンジミは、アイロニカルな口調でこう指摘する。
「今日、クラブの会長たちは、VARはビッグクラブのために役立っていると語っている。以前の彼らは、レフリーの助けになるだろうと言っていたのに!」
昨年末に国際サッカー評議会は、事務局長のルーカス・ブルドを通じて、VARが介入するのは「明確な」誤りが判明する場合のみであることを繰り返し確認した。ブルドはこう続けた。
「今はまだ規則を変更するときではないと考えている。ここでは原則のみを喚起したい。当初の判定が100%の確信を持って無効とされるのでなければ、それはそのまま有効とすべきだ」