スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
感染の拡大と短縮シーズン。
もし6月に野球が見られたら。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/03/30 19:00
ブルワーズの春季トレーニングゲーム中止を受けて、チケットの払い戻しに訪れたファンたち。“追い込み型”のチームにとって開幕延期は厳しい?
ポストシーズン進出は、競馬でいう追い込み型が多い。
この年、ワールドシリーズを制したのは、同じ西地区で年間勝率5割7分3厘のドジャースだった。この年のドジャースは、序盤から飛ばし、36勝21敗でナ・リーグ西地区の前期王者を獲得したのが大きかった。
NLDSでは後期西地区王者のアストロズを、NLCSでは後期東地区王者のエクスポズを倒し、ワールドシリーズではヤンキースを4勝2敗で降している。
ただ、歴史を振り返ると、ポストシーズンに進出するチームは、競馬でいう追い込み型が多い。
ブルワーズは、9月〜10月にめっぽう強い。
2019年のア・リーグを例にとると、約100試合経過の時点で、ワイルドカード争いの上位3チーム(インディアンス、アスレティックス、レッドソックス)のうち、実際に進出を果たしたのはアスレティックスだけだった。
他の2チームは後半から終盤にかけて失速し、4番手につけていたレイズに追い抜かれてしまった。
ナ・リーグでも、100試合経過時点で中地区首位に立っていたカブスが、ラスト62試合を負け越し、最終的にはポストシーズン進出を逃した。こちらで追い込みを決めたのは、ナショナルズ(ラスト63試合を40勝23敗)、カーディナルス(62試合を38勝24敗)、ブルワーズ(59試合を36勝23敗)の3チームだった。
なかでもブルワーズは、ここ3年ほど、9月〜10月にめっぽう強い。17年が16勝12敗、18年が20勝7敗、19年が20勝7敗で、20世紀初頭のアスレティックスを彷彿させるほどだ。
その追い込み脚質は、短縮されたシーズンでも発揮されるのだろうか。それとも、開幕が遅れる分、なかなかエンジンがかからず、スロースターターの宿命を克服できぬまま終幕を迎えるのだろうか。