スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
感染の拡大と短縮シーズン。
もし6月に野球が見られたら。
posted2020/03/30 19:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
下手をすると、今年は大リーグの野球をまったく見られなくなるかもしれない。
極度にネガティヴな考えが頭をもたげるほど、新型コロナウイルスの感染がアメリカで広がっている。
治療薬やワクチンができるのは、だいぶ先のことだろう。さりとて、世界が集団免疫を獲得するには時間がかかりすぎるし、そこに至るまでの犠牲があまりにも大きい。
それでも、意識のどこかに、もしかすると一条の光が射して、遅ればせながら野球のシーズンが訪れるのではないか、という思いがある。
近代野球史上最短のシーズンだった1981年を下回る。
ただ、早くともそれは6月以降だろうから、序盤の2カ月がまるまる飛ぶ計算になる。ざっと見積もっても、残りは100試合だ。これは近代野球史上最短のシーズンだった1981年を下回る。
81年は、ストのあおりをもろに食らったシーズンだった。4月8日から6月11日までが前期、8月10日から10月4日までが後期とされ、各チームの平均試合数は年間トータルで106試合という少なさだった。
ポストシーズンも変則的で、前期後期の東西地区王者が地区シリーズを、さらにはその勝者がリーグ優勝決定戦を戦い、勝ったほうがワールドシリーズに進出した。
なんともはっきりしないシーズンで、ナ・リーグを例にとると、前後期を通じて大リーグ全体で年間最高勝率をあげたレッズ(ナ・リーグ西地区で6割1分1厘)が、なんとポストシーズン進出を逃している。