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ドクター・中松の元祖(?)厚底。
「スーパーピョンピョン」レビュー。

posted2020/03/19 20:00

 
ドクター・中松の元祖(?)厚底。「スーパーピョンピョン」レビュー。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

「スーパーピョンピョン」を手にするドクター・中松氏。91歳ながら矍鑠として衰えを見せない。

text by

山田洋

山田洋Hiroshi Yamada

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

 ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ ネクスト%」やその新モデル「アルファフライ」が、大迫傑をはじめとするトップランナーに支持されている。

 この状況をどう見ているのか、聞いてみたい人がいた。元祖(?)厚底「フライングシューズ」を開発した日本が誇る発明王、ドクター・中松氏(91)だ。

 今年の1月の箱根駅伝で多くの選手がナイキの厚底を着用しているのを見て、中松氏が公式ツイッターで「駅伝の記録が伸びた理由はドクター・中松のフライングシューズ理論だった」とする説を展開した。

 発売中のNumberDoのテーマは「ランニングを科学する」。このテーマで、ドクターに話を聞かなければ誰に聞くのだ! とばかりに意気込んで、2時間にわたるロングインタビューを敢行した。

 雑誌掲載の記事「ドクター・中松 大いに吠える」では、フライングシューズの開発をはじめた意外なきっかけ、ある種の伝説となっているエピソードの真偽について持論を展開してもらいつつ、ドクターの開発の根底にあるもの、つまり発明哲学が思いがけず普遍的であることなどを書いた。

 全ランナー、ではないかもしれないが、ギア好きランナー必読の言葉に溢れたインタビューになった。

 その取材でドクターの事務所に伺った際、フライングシューズの最新形態「スーパーピョンピョン」をお借りすることができた。このウェブ記事では試し履きして走った率直な感想を記していく。

 筆者はこれまで様々なシューズインプレッションを手掛けてきたが、まさか、このレビューを書く日が訪れようとは思ってもみなかった。

実はヴェイパーフライより安い。

 まず、装着。

 従来はスプリングの上に設置された靴を履く形式だったが、最新形態は自分のシューズを履いたままで着脱できる。六角レンチでサイズ調整ができるため、Mサイズであれば24cm~28cmまで、Lサイズであれば28cm~30cmまで対応可能だ。

 しかし、名前こそシューズだが、実際にはスキーブーツのような“装着感”がある。足をはめ込んでバックルをギコギコ……。決して“履く”という感覚ではない。慣れていないこともあるのかもしれないが、バックルが固くて、装着しづらいぞ!

 スーパーピョンピョンはヴェイパーフライよりも安い。税込みで20130円だ。「私の発明品は一般の人が手にしやすい価格にしてある」と氏は強調していた。多くの人に使ってもらってこその発明であり、素材選びも、構造も、設計の仕様はできる限り、既存の素材を使う信念があるようだ。

「金儲けのために開発しているわけじゃないんですよ」と氏は語気を強めていた。

 ただ、稀代の発明家に意見を申すようで大変恐縮なのだが、素材の問題だろうか、シューズはバックルの部分が全体的に固く、装着に手間どってしまう。

 最新のスキーブーツはもっとしなやかにできているのだが……。サクサク履けて軽いシューズに飼い慣らされている私がいけないのだろう。

【次ページ】 立つのは難しいが、走ると凄い。

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