Number Do ExBACK NUMBER
ドクター・中松の元祖(?)厚底。
「スーパーピョンピョン」レビュー。
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/03/19 20:00
「スーパーピョンピョン」を手にするドクター・中松氏。91歳ながら矍鑠として衰えを見せない。
先生っ! 止まるのが難しいです!
このシューズの発明の原点は、ジョギングブームが巻き起こった1980年代。最大の目的は、ウォーキングよりも3倍かかる衝撃を吸収することにあった。ドクター・中松がたどり着いた答えが、バネの力を応用し、衝撃を前に進む推進力に変換すること。
確かに、「スーパーピョンピョン」が生み出す推進エネルギーに身を任せているとどこまでも進んでいけそうであり、子供の頃のような無邪気な気持ちが湧き上がってくる。
ただ、試し履きをしている私の姿を見る街の人の視線が冷ややかなのも確か。その視線にはちょっとした恥ずかしさを感じつつも、なぜかどことなく優越感を抱いてしまったことをご報告しておきたい。
でも、中松先生っ! 僭越ながら決定的な感想を最後に言わせてください。
止まるのが難しいです!
曲がるのが難しいです! マラソン大会の折り返し地点のようなカーブでは大幅なタイムロスが予想されます。
下り坂の勢いはどう止めたらいいですか? 階段の上りは楽勝なんですけど、下りは泣きそうなほど怖かったというのが正直な感想です。
先生が現在開発中の第4世代モデルは「ナイキの何倍もの推進力がある」と仰っていましたけど、今よりも推進力がついたら、危ないです!(笑)
ナイキとの世紀のコラボが実現。
最後にひとつ試してみたいことがあった。
中松先生はインタビューの中で、ナイキの厚底シューズについては「私のマネ」と一刀両断していた。
では、マネと称されたヴェイパーフライを履きつつ、スーパーピョンピョンを装着したらどうなるのか? どれだけの反発を感じるのか? 喧嘩するのか、相乗効果を生むのか。おそらく人類初の「世紀のコラボ」を実現させた。
私は胸を躍らせながら、装着を終えた。慣れてきたのか、最初より手間取らない。
私は立ち上がった。ふふ。もう小鹿とは言わせない。セグウェイに乗った時のようなやや前傾した姿勢がノーマルポジションになった。わずか十数分で私はスーパーピョンピョンに適応したのだ。