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南野拓実が去ったトップ下に抜擢。
奥川雅也はザルツで悩み、燃える。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/03/09 08:00
ハーランドやナビ・ケイタ、南野拓実らの存在によってザルツブルクは「有望株の登竜門」となった。奥川雅也もそれに続きたい。
ELフランクフルト戦でトップ下起用。
マーシュ監督は南野が務めていたトップ下のポジションに、奥川を起用しようとしている。
フランクフルトとのELラウンドオブ32のファーストレグではファン・ヒチャンとパトソン・ダカの2トップとともに奥川をスタメンでピッチに送った。
ハーランドがいなくても、南野がいなくても、ザルツブルクはザルツブルクでいようと努めた。
試合中、瞬速で何本もの矢が放たれてくる。躊躇いをすべて捨て、前への意識を研ぎ澄ます。縦パスを起点にダイレクトショートパスを連続でつなぎ、相手に守る起点を作らせない。
マーシュ監督が志向するダイナミックで精密なザルツブルクのサッカーで、真正面からぶつかっていった。愚直かもしれない。だが、そのまっすぐさを磨き上げるプロセスが、チームを、そして選手を更なる高みへと引き上げるきっかけになっていく。
奥川はサイドに流れたり、裏のスペースへ走り込んだりしながらパスを引き出し、攻撃の起点になろうとしていた。
ただ、鎌田大地に先制ゴールを許してからはチームのリズムが崩れ、攻守のバランスが悪くなってしまった。
奥川も、なかなか効果的な形でボールを受けられない。ペナルティエリア付近でパスを受けようとするが、パスが出てこない。パスを受けても決定的チャンスに絡めない。そのまま前半限りで交代となってしまった。
南野がザルツ時代に語ったこと。
セカンドレグではベンチで出番を待ち続けたが、最後まで声はかからず、自身最初の欧州カップ戦に別れを告げることになった。
かつて、南野が語っていたことがある。ザルツブルクにきて日が浅い時期のことだ。
「シュートを打てそうだけどパスをもらえない場面があったんですが、そういうところで受ける回数を増やしていきたい。このチームのやり方、いい守備から攻撃に移ったときにダイナミックにゴールに向かえるポジショニングや仲間とのコミュニケーションとか、いろいろあると思うんですけど、そういうところでもっと良くしていかないといけないと思っています」