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南野拓実が去ったトップ下に抜擢。
奥川雅也はザルツで悩み、燃える。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/03/09 08:00
ハーランドやナビ・ケイタ、南野拓実らの存在によってザルツブルクは「有望株の登竜門」となった。奥川雅也もそれに続きたい。
CLで戦えたチームを再び作り直し。
「昨年夏の段階で、新しいチーム作りはうまくいかないと言われていた。それだけ大きな変革だった」
就任1年目のマーシュ監督は、そう振り返る。言い訳をするつもりも、誰かに責任を押しつけるつもりもない。マーシュ監督は、そんな状況を挑戦ととらえた。
「指導者にとって重要なのは困難な状況のなかで戦い、そこで経験を積んでいくことだと思う。簡単な状況で指揮をするだけなら、みんな変わらない」
そんな自論を持ち、ポジティブに現状と向き合った。ライプツィヒ時代に智将ラルフ・ラングニックのアシスタントコーチとして身につけた知見を遺憾なく発揮し、ハーランド、南野、そしてファン・ヒチャンを攻撃の軸に据えた。
彼らが中心となり、ダイナミックでハイスピードなサッカーを展開。これまでのザルツブルクらしさにマーシュのアレンジが加わったスタイルが、高く評価された。
大きな変革を乗り越え、CLでも戦えるチームを作り上げた。それなのに、そのチームをシーズン途中にまた作り替えなければならない。それは相当な負担だ。
スポーツディレクターのクリストフ・フロイントは、「ハーランドと南野が抜けた穴はチームとして非常に良く補完できると確信している。チームには非常にいいスピリットがある。そしてスピードと情熱が我々の武器だ」と強調していたが、愚痴の1つも言いたくなるだろう。
攻撃の柱として期待される奥川。
とはいえ、立ち止まっているわけにはいかない。
マーシュ監督は、ELラウンドオブ32のフランクフルト戦前に「(チーム作りは)簡単なことではない。だが、それがプロサッカーの世界だ。今ここにいない選手のことが重要なわけではない。我々は新しいチームにフォーカスしてやっていく」と力強く語っていた。
そんなチームにおいて、攻撃の柱と期待されているのが奥川雅也だ。
「(主力の離脱は)ザルツブルクでは珍しいことではない。(ブレイクへの)次の一歩を準備している選手がいる。例えば奥川だ」