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南野拓実が去ったトップ下に抜擢。
奥川雅也はザルツで悩み、燃える。
posted2020/03/09 08:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
今季のチャンピオンズリーグ・グループステージで旋風を巻き起こしたのは、間違いなくザルツブルクだった。
特にリバプールのホーム、アンフィールドで0-3から一時は3-3に追いついたインパクトは強烈で、ザルツブルクは世界のサッカーファンにこれ以上ない好印象をもたらした。
ただし皮肉なもので、活躍すれば活躍するほど他クラブが活躍した選手に興味を持つ。そんな運命が、このクラブには待っている。
実際、冬の移籍市場ではノルウェー代表FWアーリング・ハーランドがドルトムントへ、南野拓実がリバプールへ、そしてCBマリン・ポングラチッチがヴォルフスブルクへ引き抜かれてしまった。
今季は例年以上に選手が去っていた。
今回に限らず、エース級の選手が次々に移籍していくのは、ザルツブルクでは恒例のこと。
「ザルツブルクには才能豊かな選手が数多く集まっており、彼らの成長こそがこのクラブの持つ最も大事なアイデンティティの1つ」
ザルツブルクを率いるジェシー・マーシュ監督は、自分たちの立ち位置を理解している。才能の卵を世界中から見つけ出し、一貫したプレー哲学の下、じっくり育てる環境がある。それが、このクラブの持つ何よりの魅力なのだ。
だから「そのなかで、やりくりしていかなければならない」こともわかっている。
とはいえ、せっかく作り上げたチームを毎回イチから作り直すのは簡単ではない。いつもうまくいくわけではない。
そもそも、今季はこれまで以上に多くの選手がクラブを去っていった。
昨夏の時点で、ハネス・ボルフ(RBライプツィヒ)、ザベル・シュラーガー(ヴォルフスブルク)、ディアディ・サマセク(ホッフェンハイム)、シュテファン・ライナー(ボルシアMG)、ムナス・ダブール(セビージャ→ホッフェンハイム)と、昨シーズンのレギュラー選手の約半数が新天地へ旅立っているのだから。