欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
日本の子供サッカーは練習しすぎ?
休息と広い世界、ドイツの指導法。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/03/08 11:40
「一意専心」を美しいと考えがちな日本だが、ドイツなど諸外国のアプローチも参考にしてみる必要性があるだろう。
社会に関わることを楽しんで。
子どもたちには未知のものにどんどん触れてほしい。勝手が違うこと、上手くいかないことに驚いてほしい。「やっぱりサッカーがいい」と思ったとしても、新しいものとの出会いは素敵な経験になるはずだ。
チームメイトの意外な面に気づくかもしれないし、いつもと違ったコミュニケーションも生まれるだろう。サッカー以外の世界に対しても常にオープンでいてほしい。それが間違いなく、人間の幅を広げ、深みを作り上げていく。
スポーツだけではなく、社会活動にも積極的に関わっている。
路上生活者のために、他のボランティア団体と協力してクリスマスのクッキーを焼く慈善活動も行った。これも道徳心や公共心を育んでほしいというよりも、単純に「仲間と一緒に誰かを助けることができたら嬉しい、社会に関わることができたら楽しい」という思いをちょっとでも感じてもらえたらと思ってのことだ。
部活の垣根を越えてみてはどうか。
こうした活動はブンデスリーガの育成クラブでも一般的に行なわれていて、選手たちがビーチバレーやサイクリング、スキーなどサッカー以外の種目に取り組んだり、社会福祉活動に積極的に参加したりしている。
日本の場合、中学や高校となると地元のクラブよりも部活動で、というのがこれまでの主流だし、今後もしばらくはそうだろう。
最近、部活動のあり方についていろいろと議論されているという。ただ、そもそも部活動は活用次第でものすごいポテンシャルを持っていると思う。日本の学校には様々な活動ができる施設が整っている。学校という空間のなかで、多くの世界に触れる選択肢を提供することもできるはず。
例えば、他の部活動を体験できる日を設けるというのはどうだろう。
体育会系に限らず文化部も交え、垣根を超えて。あまり馴染みがなく、授業でも触れたことがなく、でもちょっとだけ興味があるような、そんな部活動に入ってみるのだ。
「俺はサッカー部だけど、卓球部ってどんな練習してるんだろう?」
「天文部って普段は何してるのかな? 昼間は星なんか見えないよな?」
そんな好奇心や素朴な疑問を大事にしてほしいのだ。