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日本の子供サッカーは練習しすぎ?
休息と広い世界、ドイツの指導法。 

text by

中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/03/08 11:40

日本の子供サッカーは練習しすぎ?休息と広い世界、ドイツの指導法。<Number Web> photograph by Getty Images

「一意専心」を美しいと考えがちな日本だが、ドイツなど諸外国のアプローチも参考にしてみる必要性があるだろう。

“やりすぎ”は百害あって一利なし。

 体を回復させ、強化させるための時間があるから強くなる。言い換えれば、休む時間と環境が十分にないと成長はない。

 無理の積み重ねは怪我に直結する。激しいスケジュールをやりくりするにはどこかでパワーをセーブせざるを得ないし、それが習慣になると自分の全力を出すことができなくなる。成長段階の子どもたちにとっての“やりすぎ”は、百害あって一利なしだ。

 だから、育成という大枠のなかで大事な大前提として言いたいのは、チーム練習のないときはしっかり休むべき、ということだ。

 子どもの成長には個人差がある。成長スピードが早ければ早いほどいいわけでもない。それぞれの成長段階に応じたやり方を考慮することが大事なのだ。

 成長のメカニズムをちゃんと考慮して練習に取り組めば、体も、心も、頭もそれぞれに成長していくし、それが良質のパフォーマンスへとつながっていく。

 日本の子どもは、ただでさえ忙しい。それも、ものすごく忙しい。

 だから大人たちは一度、子どもたちのスケジュールをしっかり見つめ直してほしいのだ。学校、塾、スクール、サッカー、ほかの習い事。万遍なく埋められている1週間を見て、「ちょっと大変だろうけど、そこまで問題はないんじゃない?」と思われる人もいるかもしれない。

 ただ、大切なのはスケジュールに書かれている予定だけだろうか?

ドイツの小学校年代では……。

 睡眠時間は? 家族と過ごす時間は? のんびりお出かけしたり散歩したりする時間は? みんなで楽しく食事する時間は?

 1人でボーっとする時間は? 本や漫画を読む時間は? 兄弟でふざける時間は? 友達と遊ぶ時間は?

「何時まで」という制限なく、友達と心の底から笑い合える時間が、1週間にどれくらいあるだろうか。

 スケジュールに書き込めない、でも子どもの成長に何よりも大切な余白の時間をもっともっとケアすべきではないだろうか。

 前置きがだいぶ長くなったが、ドイツを例にしよう。

 小学校の間の練習は基本的に強豪クラブでも週3回で90分ずつ、週末に30分ハーフの1試合だ。

 夏休み、冬休み、秋休み、イースター休暇。長期休みはいつだって、まるっと休みを取り、遠征には行かない。朝から晩まで試合を続けたりもしないし、合間に練習しない。その分、1回の練習や試合に密度濃く取り組めるし、十分な休みを取るから疲れを引きずることもない。

【次ページ】 怪我をしたらちゃんと休む。

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