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バスケ日本代表、五輪へリスタート。
台湾戦快勝でも「上を見続ける意識」。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYoshio Kato/AFLO
posted2020/03/01 20:00
宇都宮の同僚、田臥勇太の「0」番を背負い代表デビューしたロシター。先発出場でチーム最多タイの17得点をあげた。
圧力をかけられたときにスキルを発揮できず。
「W杯を経験している立場」から彼は、こう伝えた。
「世界と俺たちの間に、バスケットのスキルなどにものすごい差があるわけではない。何が足りないかといったら、相手がフィジカルを使って守ってきたとき、プレッシャーや圧力をかけられたときに、自分たちが持っているスキルを発揮できないところにあると思う。
快適な状態なら誰でも良いプレーはできる。でも、苦しくなったときに、いつものスキルを発揮できない。
だからこそ、日ごろからお互いに、そういう激しさをもってディフェンスをやらなきゃいけないと思う!
そういう激しいディフェンスがあれば、オフェンスをする側も、今度はそれをどうやって乗り越えようとすればいいかを考えて、成長していけるわけだから」
合宿中のミーティングでは代表チームでプレーする誇りや責任などもテーマになったが、田中が言うようなコートの上での意識や取り組みについても議題に挙がっていた。
指揮官が一方通行で課題を突きつけるのではなく、選手自身に考えさせる。そして、選手たちの口から課題を挙げさせ、その言葉に責任を持たせる。それがラマスの狙いだった。
笑顔とともに、力強く親指を立てた。
そんな取り組みを経て、日本は24日の台湾戦に臨むことになった。
ラマスは、この試合のポゼッションごとの失点数の目標を0.9以下に設定した。
アジア予選の0.75よりも多い数値となっているが、ロシターらの新加入選手がいることを筆頭に、W杯よりも1人多い3人のポイントガードの選手をベンチ入りさせたこと、各選手に一定の出場時間を割り振ること、アメリカでプレーする3人がいないことを、考慮してのものだろう。
台湾がこの試合では帰化選手を登録しなかったこともあり、第1Q(クォーター)から順調に点差を広げていき、最終的には96対57と39点差をつけての快勝となった。
ポゼッションあたりの失点数は、3Qまでは0.68に、試合を通しても0.79にとどめた。
ベンチ入りした12人すべての選手が、最低でも10分以上プレーするような起用が行われたため、最後に平均失点数が上がったことに目くじらを立てても意味がない。
だから、ラマスは試合後に平均失点のデータを見て、こう答えた。
「すごく良いと思います。満足しています」
そして、笑顔とともに、力強く親指を立てた。