スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ムーキー・ベッツとドジャース。
大型トレードのもたらした波紋。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/02/15 09:00
2月12日、デビッド・プライス(左)とともにドジャース入団の記者会見に臨むムーキー・ベッツ。
ドジャースの攻撃力は飛躍的に向上する。
さらに驚きなのは、26歳までの6年間のWAR累計が42.0に達していることだ。
これは、26歳までの累計で見ると、あの大選手トリス・スピーカー(26歳までの累計=48.7)に次いでレッドソックス史上第2位に当たる(テッド・ウィリアムズは開幕時24歳の年に出征したため、23歳までの4年間で34.2)。
現在の球界では、マイク・トラウト(27歳までの9年間で72.5)、ノーラン・アレナド(28歳までの7年間で38.7)、マニー・マチャド(26歳までの8年間で36.9)、クリスチャン・イェリッチ(26歳までの7年間で33.6)らと肩を並べる実力者といっても過言ではない。
そんなベッツを1番ライトで起用できれば、ドジャースの攻撃力は飛躍的に向上する。
2番以下に、マックス・マンシー(一塁)→ジャスティン・ターナー(三塁)→コーディ・ベリンジャー(中堅)→A・J・ポロック(左翼)→コーリー・シーガー(遊撃)が連なる打線は、故障者さえ出なければ球界のトップクラスだ。
ベッツが期待どおりに働くなら、'21年以降の長期契約でも、ドジャースは気前のよいところを見せるのではないか。
早い時期に先発陣補強の動きも?
となると、気になるのはやはり投手力だ。
柳賢振をFAで失い(ブルージェイズと契約した)、前田健太までいなくなったとなれば、痛手は大きい。勝ち星の計算ができるのはウォーカー・ビューラーとクレイトン・カーショーのふたりだけで、新加入のデヴィッド・プライスには、蓋を開けてみなければわからないところがある。
復帰したアレックス・ウッドや若手のフリオ・ウリアスが活躍してくれればひと安心だろうが、期待外れのようだと、意外に早い時期から先発陣補強の動きが見られるかもしれない。
'17年、'18年とワールドシリーズ王者になりそびれたドジャースだけに、今季は相当に気合が入っているはずだ。
まずは、ベッツのバットから眼を離さないでおこう。彼が打線を牽引すれば、空気は大きく変わってくるにちがいない。