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サイン盗み問題で謹慎処分になり、
それでも堂々と謝罪した男の誇り。

posted2020/02/14 11:40

 
サイン盗み問題で謹慎処分になり、それでも堂々と謝罪した男の誇り。<Number Web> photograph by Reuters/AFLO

青木宣親とも良好な関係を築いていたヒンチ前監督(右)。サイン盗み問題で重大な罰則を受けた。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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Reuters/AFLO

 擁護するつもりはない。ただ、サイン盗みの責任を問われてメジャーリーグ機構から1年間の謹慎処分になったA.J.ヒンチ前アストロズ監督が、キャンプ直前になって受けた(MLBネットワークの)インタビューで出した正直な気持ちと、普段の彼がどんな人なのかということだけは、現場で取材したことのある人間として何とか伝えたい――。

 ヒンチ監督とは、青木宣親外野手(現東京ヤクルト)がアストロズでプレーしていた前半戦、何度か直接話をさせていただいた。彼らが球団史上初のワールドシリーズ優勝を果たした2017年、つまり、「サイン盗み」のシーズンのことである。

 アンフェアな行為は後半になって顕著になったと言われているので、当時の彼らがすでに「サイン盗み」をしていたかどうかは定かではない。だが、そんな不正をしていることまったくを感じさせないほど、いつも周囲に対するリスペクトを欠かさない人であり、頭脳明晰で慎重な人だった。

 かと思えば、オフレコの場面では多少の(元スポーツ選手らしい)汚い言葉も軽妙に使い分けるなど、ユーモアのセンスもある人だった。

 ただ、こちらが真面目過ぎたのか、キャンプ中から幾つか質問しても、よくある社交辞令的なコメントしかくれず、その後はあまり質問するチャンスもないまま、時間が過ぎていた。

青木のミスを、率直に説明。

 そんな頃、左翼を守っていた青木から始まったとある中継プレーの乱れについて尋ねる機会が巡ってきた。ヒンチ監督は『なんだよ、珍しいな』とでもいうように口元に笑みを浮かべながら、我らが日本人選手のプレーを理路整然と説明してくれた。

「ノリはあの時、躊躇せずに一番近くにいる内野手に返球すべきだったんだ。カルロス(・コレア)がいるべき中継地点に遅れたのは確かだが、それは彼が走者を見ながら動いていたからで、試合の中では起こり得ることだ。躊躇したことで彼が送球するタイミングも乱れ、送球がワンバウンドになってしまったのさ」

 とても流動的なプレーが多く、一瞬の判断が求められるディフェンスの肝を捉えた言葉だったが、そのやり取りを今でもよく覚えているのは違う理由だった。

 それはヒンチ監督がその時、選手を責めたくない時に使う「I believe」というような曖昧な言い方をしなかったからだ。

【次ページ】 「ノリはもう同じミスをしない」

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アンドリュー・ジェイ・ ヒンチ
ヒューストン・アストロズ

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