Jをめぐる冒険BACK NUMBER
若き才能が伸びる霜田メソッドとは。
レノファ山口のキャンプ潜入・後編。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNorio Rokukawa
posted2020/02/13 20:05
霜田正浩監督の熱い指導はピッチ内でも続く。「個人昇格は大歓迎」と語るが、もちろんチームとしてもJ1昇格を目指す。
練習試合を2日後に控えた中で。
合宿3日目の26日――。
この日は2日後に控えた名古屋グランパスとの練習試合を睨んだトレーニングが行なわれた。
整理されたのは、プレッシングの掛け方。練習が始まる前、テントの中に選手を集め、霜田監督がホワイトボードを見せながら、ポイントを説明する。
「パスコースを切りながら、相手ボールホルダーとの距離を少しずつ詰めて、どこに誘導するかが大事だ。サイドにボールが入ったら、それがスイッチ。ワイドレーン、ハーフレーン、センターレーンに全員が入るくらいスライドして、横をコンパクトにしよう。逆サイドは捨てていい。まずはボールを奪いに行く。それができなければ、顔を上げさせない。ボールを下げさせる。パウロ、いいかい? (高井)和馬もOK?」
うなずく選手たち。即席ミーティングが終わると、選手たちはピッチに散った。
名古屋戦前のロッカールームで……。
名古屋との練習試合当日――。
キックオフ1時間半前、いつも練習しているスタジアムのロッカールームに集まった選手たちに、霜田監督からテーマが授けられた。今後の練習試合では毎試合、テーマを持って戦うことになるが、この日のテーマはこの3つ。
1. 相手のプレスをしっかり剥がす
BUILD-up & PASS WORK
2. 連動したプレスでボールを奪ってカウンターから点を取る
PRESSING & SPRINT to the GOAL
3. ゴールを守る守備を90分続ける
35m DEFENCE
「相手がJ1だろうが関係ない。これまで取り組んできた、この3つのテーマをしっかりやろう。それで2-1で勝てれば最高だ。でも、最高の結果が出なくても、京都(サンガ)との開幕戦に2-1で勝てるように、しっかりやろう。いいね。よし、行こう!」
名古屋は新加入の阿部浩之や稲垣祥、さらには前田直輝、マテウス、米本拓司、太田宏介ら現状のベストをスタメンで起用してきた。
一方、山口はシャッフルしたスタメンで臨んだ。
結果から言えば、1-3。個人能力の差を見せつけられた格好となった。
痛かったのは、開始1分に出端を挫かれたことだ。
米本のロングフィードから前田に抜け出され、あっさりと失点。ボランチに寄せ切れず、ロングボールへの対応やカバーリングの甘さなどミスが重なった。
前半終了間際にもマテウスにゴールを許した山口は、後半に入って左サイドを攻略し、最後はボランチに入った練習生、キャンプ後に契約を結ぶことになる古賀俊太郎のゴールで1点を返したが、その6分後、カウンターから青木亮太に決められ、突き放された。