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アルディージャが纏い始めた地域色。
アカデミー出身の10番、埼玉出身者。
posted2020/02/14 11:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
Jリーグのなかで地味な存在に振り分けられがちなクラブが、確かな個性を持ち始めている。2020年シーズンをJ2リーグで戦う大宮アルディージャだ。
かつて“落ちないクラブ”としてJ1に長く踏み止まった大宮は、'16年にJ1でクラブ最高の5位に食い込んだ。ところが、'17年には2度目のJ2降格に遭ってしまう。
近年のJ2は混戦の度合いを増している。J1から降格したクラブは1年での復帰を誓うものの、そのとおりに返り咲きを果たせるケースは少数派となっている。
大宮も例外ではない。'18年は5位で、'19年は3位でJ1参入プレーオフに挑んだが、いずれも1回戦で敗れている。
今シーズンの昇格レースも、厳しいものになるだろう。
22チームのほぼ半数にあたる9チームが、新たな指揮官のもとで新シーズンを迎える。
J1で実績を残してきた尹晶煥監督が、過去2シーズンは中位以下に沈んだジェフ千葉の再建をはかる。水戸ホーリーホックをプレーオフが狙えるレベルまで押し上げた長谷部茂利監督が、昨シーズンは16位に沈んだアビスパ福岡を率いる。
元日本代表コーチの手倉森誠監督が就任2年目となるV・ファーレン長崎も、12位に終わった昨シーズンの悔しさを昇格へのエネルギーにしている。
さらに言えば、J2は選手の移動が激しい。得点ランキングの上位選手が、J1のクラブへ引き抜かれたり、J2の他クラブへ移籍したりしている。攻撃や守備の中心選手を失ったチームも多い。監督だけでなく主力も入れ替わったチームが多いだけに、リーグ全体の力関係をつかみにくいのだ。
高木監督が担保する継続性。
大宮はどうか。
就任2年目となる高木琢也監督のもとで、まずは継続性を担保した。そのうえで、昨シーズンはリーグ4位の「15」を数えた引分けを、いかに勝利へ変えていくのかを昇格へのテーマとする。
'20年シーズンをJ1で迎える柏レイソルや横浜FCとの違いが、もっと言えば4位以下のチームをはっきりと引き離せなかった理由が、ドローゲームの多さにあったからだ。
高木監督が指揮する以前から伝統とする守備力は、昨シーズンも数字に表れている。リーグ3位タイの40失点は、1試合平均で1点以下の堅さだ。