Jをめぐる冒険BACK NUMBER
若き才能が伸びる霜田メソッドとは。
レノファ山口のキャンプ潜入・後編。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNorio Rokukawa
posted2020/02/13 20:05
霜田正浩監督の熱い指導はピッチ内でも続く。「個人昇格は大歓迎」と語るが、もちろんチームとしてもJ1昇格を目指す。
1日の半分以上は練習メニューを。
選手のコメントどおり、霜田監督のトレーニングは毎日異なることでも有名だが、メニューはすべて自分で考えているという。
「1日の半分以上は練習メニューを考えているかな。自分のやりたいサッカー、こうやって点を取りたいというイメージがあるから、そこから逆算して考えている。だから、全然苦にならないです。プレーモデルに沿った練習や個人技術を伸ばす練習。なおかつ設定をいろいろ変えて、裏テーマも考える。いかに楽しく、身体がキツいか。試合よりも難しい設定にしておけば、試合で楽に感じるだろうと思っています」
一方、Bマインドが浸透していることを感じさせたのは、田中パウロ淳一だ。左足は一級品。「もう少しサッカーが分かってくれば、もっと良くなるんだけどね」と霜田監督も期待を寄せるアタッカーである。
「正直、これまでは自分の特長を出せればいいと思っていたんですけど、レノファに来て、苦手なプレーがあってはならないと感じるようになりました。このチームでJ1に行きたいんで、チームのために頑張りたいし、走りたい。そうすることで自分にチャンスが返ってくるのも分かってきたので」
何とか殻を破らせたい吉濱。
吉濱遼平も、霜田監督がなんとか殻を破らせたいと考えているタレントだ。左足から繰り出すパスやシュートはJ1レベルだが、プレーにムラがあるのが玉に瑕なのだ。
そのことは、吉濱自身がよく理解していた。
「レノファに来てから得点に絡む機会は増えましたけど、チームの失点数が多いなかで、自分の守備に問題があったのも分かっていて。霜さんからも『今のままではファーストチョイスとして使えない』と言われました。攻撃でもっと絶対的な存在になりたいし、守備でチームを助けられるようにもなって、霜さんの信頼を掴みたいですね」