Jをめぐる冒険BACK NUMBER
若き才能が伸びる霜田メソッドとは。
レノファ山口のキャンプ潜入・後編。
posted2020/02/13 20:05
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Norio Rokukawa
レノファ山口のタイキャンプ初日。3種類のビブスが振り分けられたあと、選手たちが手にとったのは、なんと3色のハチマキだった。
オレンジ、白、紫のビブスと、赤、水色、黄色のハチマキ――。
トレーニング内容はハーフコートを使ったボール回し、いわゆる“鳥かご”である。
「赤!」と呼ばれた選手たちが“鬼”になってボールを奪いにいく。ビブスの色を呼ばれるか、ハチマキの色を呼ばれるか、分からない。だから、自分が何色のビブスを着て、何色のハチマキを巻いているか覚えておかなければならないし、ボールを回す側も、すぐに誰が“鬼”なのか判断しなければならない。
イビチャ・オシム監督をはじめ、多彩なビブスを使い分けるトレーニングは見たことがあるが、選手がハチマキを巻くのを見るのは初めてだった。
判断力だけじゃなく顔を上げさせる。
これは、霜田監督オリジナルのトレーニングである。
「最初にやったのは、'06年にY.S.C.C.横浜の指導をしたときだったかな。判断力を磨くだけじゃなくて、顔を上げさせたいんだ。ビブスだけだと、下を向いていても間接視野で見える。でも、ハチマキは顔を上げないと見えないからね」
選手たちは霜田監督のトレーニングをどう感じているのだろうか。
「今までやったことのない練習ばかりで、すごく新鮮です」
そう語ったのは今季、ツエーゲン金沢から加入した21歳の小松蓮である。
「ポジショニングがどうとか、味方をどう使うかとか、どうサポートするかとか。頭を使っているので、頭のほうが疲れますね」
同じく今オフ、大宮アルディージャからやって来たベテランの菊地光将もこう語る。
「聞いてはいたんですけど、本当に同じメニューがなくて、練習内容もこれまでにやったことのないものばかり。楽しみながらやれています」