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C・ロナウド「このトリオはいける」
ユーベの最終兵器ディグアルドとは。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/02/05 07:00
16節ウディネーゼ戦で初めて同時に先発した“ディグアルド”。ゲームの世界にいるような強力トリオがCLを席巻する日は近い?
90分稼働は非現実的な戦術だ。
夢のトリオを実現できたのは、つなぎ役を担うディバラの覚醒によるところが大きい。昨季まで戦術縛りに苦しんだ10番は、サッリ親分から自由を与えられたことでプレーの幅を広げ、決定力も取り戻した。
A・マドリーを下したCLグループリーグのFK決勝弾や、セリエA・17節サンプドリア戦で見せた左足ボレーの一撃に自信が漲っている。
「相手チームにとって、俺たちトリオは悪夢だと思うね」(ディバラ)
ただし、ペナルティーエリア内でこそ真価を発揮する3人を90分間同じグラウンドに留めておくことは、戦術的にも体力的にも非現実的だ。
中盤、とりわけサイドハーフにかかる負担が大き過ぎる。実際の運用は、C・ロナウドの相方としてイグアインかディバラのどちらかが先発し、ベンチスタートとなった者が後半途中から投入されるパターンが多い。
慎重派のサッリは「この3人の同時起用なんて、そうそう簡単に機能してたまるか」と悪態をつきながら、戦力差のある下位クラブ相手のカードで、そのトリオを慣熟させようと苦心してきた。
救いは当人たちの“やる気”。
初めて3人同時に先発させた12月中旬のセリエA・16節ウディネーゼ戦は3-1で快勝。しかし、クリスマス前にサウジで行なわれたイタリア・スーパー杯ではラツィオに1-3と惨敗して「エネルギー切れ」。敵地で完敗した21節のナポリ戦後にも「いかん。チーム全体が全然ダメ」と指揮官のぼやき節が響いた。
本来最も破壊力を見せてほしい大一番で機能せず、トリオ完成への道のりは一進一退。「機能するはずがない」という冷めた懐疑論もローマやナポリあたりでは根強い。「3人を同時起用しろと地元メディアが焚きつけているだけ」という揶揄も飛んでくる。
救いと希望は、当人たちがトリオでのプレーを揃って歓迎していることだ。
「監督が『トリオでいくぞ』と勝負をかけるときに、俺たちは常に準備万端でいなくちゃいけない。点取り役が3人同時にプレーするってことは、その分汗かく量も増えるけどな」(イグアイン)