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ラグビー新リーグ構想の理想と現実。
企業名、ホーム、普及の方法論は?
posted2020/01/31 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoya Sanuki
昨年のW杯でラグビーの魅力に目覚めた子どもたちが、胸を躍らせるような構想ではなかった。
現在のトップリーグでプレーする選手たちが、新しい意欲をかきたてられるような未来図でもなかった。
1月28日に日本ラグビー協会が公表した新リーグの骨子である。分かりやすくまとめれば、トップリーグのフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジだ。プロリーグではなく「新リーグ」となっているのも、選手の契約形態がプロフェッショナルになることを前提としていないからだ。
28日のメディアブリーフィングに出席した日本協会の岩渕健輔専務理事は、「30年以内のW杯再招致を掲げ、国内リーグがどう変わっていかなければならないのか。ラグビーが日本という国のなかでいいものになるように、30年後もラグビーが支持されるように」という出発点からの議論であることを明かした。
新リーグの法人準備室長を引き受けた谷口真由美理事も、「ラグビーがあってよかったという社会にしたい。子どもたちが初めてやるスポーツになり、ラグビーボールがどこにでも転がっているような社会にしたい」と語る。
チーム名に企業名を入れるかどうか。
少子高齢化が加速する日本で、“持続可能な成長”を実現していくために新リーグへ移行する、ということである。'21年秋開幕予定のシーズンから、装いを新たにする。
新リーグには国内最高峰のトップリーグ、2部相当のトップチャレンジリーグに現時点で所属しているクラブに限らず、企業チーム以外にも門戸を開く。参入要件を満たすことができれば、新規参入も可能だ。
チーム名には地域名を取り入れることを条件とした。一方で、企業名を入れるかどうかはそれぞれの判断に委ねる。
サッカーJリーグとバスケットボールBリーグは、呼称に企業名を入れていない。新リーグが言う「チーム名」が「呼称」を指す、あるいは含むものならば、トップリーグとの見え方の違いが分かりにくい。
これについては、親会社からの分社化を必須とせず、会社内の事業部としての成り立ちも認めていることが関わっているのだろう。トップリーグの会場では各チームがテントを設置し、チケットや応援グッズを配ったりしている。ラグビー部という見え方が色濃いチームも多く、企業色をいきなり一掃しないとの判断が働いたと考えられる。